第百七話 出発前のいらぬ労働
「おじゃましま、、、、、」
いや、誰に言ってんだろうか?
俺は今、俺と結笑以外が泊まっている部屋に来ている。入る前にメアナからちゃんと許可は取ってあるので、なんら問題はない。あるとすれば部屋の中にあるアテナやアイリスが着替えていた場合だけど、そんなこともなかった。
俺は2人とも寝ていて意識のある人がいない部屋に向かって、あいさつしているという悲しい状態になっていたのだ。女神様たちは本当によく眠っているらしく、さっきの俺の声にも何も反応はない。
結局、結笑たちに言った通りに女神様たちを起こす作業から開始する。
「起きろー。もう朝だぞー。いつまで寝てんだー」
しばらく見ているが、なんの反応もない。2人とも起きる気配がない。昨日はほとんど宿にいたはずだから、そんなに疲れてないと思うのにな。
俺は全然起きない女神様たちを前にして考える。呼びかけには答えないし、布団引っ張ってベッドから落としてみるかな、、、、。でも、それは流石に宿の人に申し訳ないし。
「お兄ちゃん?アイリスとメアナお姉ちゃんを起こせばいいの?」
俺が悩んでいると隣から真央が声をかけてくる。
「うん。真央出来そう?」
「うん。多分できるよ!お兄ちゃん目つぶって後ろみててね」
「目をつぶって後ろを見とくの?」
「うん!」
俺は真央がこれから何をするのか全く分からなかったけど、真央に言われた通りに目をつぶって後ろを向いた。
「お兄ちゃん、大丈夫、準備できた?」
「出来たよ」
「じゃあ、いくよ」
真央の声と共に部屋の中が急に明るくなるのを感じる。目を閉じてても眩しいと感じるぐらいだから、真央の言ってる事を聞かずに目を開けて直視していたら大変な事になっていただろう。
ちゃんと言う事を聞いといて、よかったと思うと同時に光が弱くなった部屋から女神様方の呻き声が聞こえてくる。
「うぅ〜、なんですか?朝っぱらから、明るすぎませんか?」
「あと、十分、、、、、、」
「お兄ちゃん、目開けてもいいよ。さっきのやつ大丈夫だった?」
アテナとかの声を無視して、真央が俺を心配してくれる。なんて、優しい子なのだろうか。
「大丈夫だよ。ありがとね。これでアイリスもアテナも起きそうだよ」
真央にそう言いながら、俺は起きかけているアイリスとアテナを完全に起こしにかかる。
「はい、起きる!真央に起こされて恥ずかしくないのか。女神として。というかアテナはもう朝じゃなくて、昼に近いし。アイリスは二度寝しない!」
「「うるさいですね〜」」
要らんところで見事にハマる女神様たちを起こして、出発の準備が完了するまでに結局三十分ぐらいかかったのであった
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