第百二話 確実に近づいて
「意識の操作ですか?」
「はい、意識の操作です。護さんもアイリスと一緒にいてなんかありませんか?気づいたら、、、。みたいなこと」
天照様に言われて考える。アイリスと一緒にいて、気づいたら、、みたいなこと。
「まさか、俺の財布がたまに取られてたり、掴んでたはずのアイリスが、逃げ出したりしてるのって、そう言うことですか?」
俺はいつも気になっていたことを思い出して、聞いてみる。この疑問&悩みは原因が何かわかったら、解決策もあるかもしれない。
「あぁ、多分それですね。「財布は護さんが持っているもの」「あの子をあなたが掴んでいる」という意識を少し変えたんでしょう。それをあの子は、ほとんど無意識でやってるのが怖い所です」
「そうだったんですか。俺は無意識のうちにあいつの手中に、はまってしまっていたんですね。ちなみにそれって、回避法というか意識を変えられないようにすることって出来るんですか?」
「護くん、すごい必死じゃん、、、、」
俺の隣で話を聞いていた結笑が、俺を憐れむような目で見ているが、この際聞いておけることは聞いておきたい。俺の見栄どうこうの話じゃないのだ。
「それは、考えてることを強く意識することですね。「あっ、財布取られそうだな」とか、「こいつ、逃げる隙を狙ってるな」と、思った時に俺は今こうしている。という強い意志を持つんです。女神が干渉できるのはぼんやりとした意識であって、強い意志は変えられないんです」
「へぇ〜。そんなものなんですね。ちなみにそれって女神様同士でも干渉できるんですか?」
結笑がアイリスのことによって脱線した話を軌道修正してくれる。俺は、アイリスに対抗できる手段が得られただけですごく満足です。
「効果は弱まりますけど干渉出来ますよ。私だって、実際急にアイリスを甘やかしたくなったことはありますし」
「でも、天照様なら多少の強制力はあるよね。だって、ちゃんと私たちに命令すれば、私たちは従うことしかできないもん」
「そうみたいです」
女神様方の中の力関係はそんなところにまで影響しているのか。なんか、女神が女神に命令って想像できないな。まず、天照様ならやらないだろうし。
「じゃあ、それで魔王のこととかって、どうにかならないんですか」
ウンディーネ様の補足情報を聞いた結笑が、天照様に質問する。
「出来なくはないでしょうが、難しいと思いますよ。だって、世界の人々の意識を変えて、私たちの意識にまで変える必要がありますからね。そんな面倒なことをする意味がわかりません」
そんなことを言う天照様。じゃあ、本当に自然にみんなの意識に芽生えたのかな。でもそれじゃあ、おかしいよね。
ウンディーネ様と天照様と一緒に話してはいるが、魔王討伐のことを広めた犯人?の目星はまだつかないままだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます