第九十九話 初めまして


 俺たちはアイリスをメアナに押し付けた後、真央と俺と結笑の3人で教会に向かう。結笑によって、真央も行って良いか天照様には確認済みだ。


 3人で歩いていると、段々と目的地である教会である白い建物が見えてくる。


「お兄ちゃん、白い建物見えたよ!あれでしょ、教会!」


「うん、もう少しだな。あそこまで頑張ろうか。あと、結笑はよく道覚えてたな。一回しか来てないはずなのに」


 俺は結笑の記憶力に感心しながら、真央を挟んで、隣を歩いている結笑の方を見た


「、、、、、、、ごめん、私も一回しか通ってない道だから覚えてなかった。だから、天照様に教えてもらってたの、、、」


「なんだ、そんな事だったんだ。やけにスムーズに進むから普通に覚えてるもんだと思った。でも、天照様式カンニングを使うなんて、なかなか良い手を考えましたね」


「やめて、、。私も言ってて少し恥ずかしかったのに〜」


 教会までの道のりが、自力ではなかったことを恥ずかしそうにいう結笑をからかう。それに対して、少しむくれるような顔も可愛いと思いながら、教会までもう少しの道のりを歩いていく。


 そして、俺たちはほんの数分で真っ白な教会にたどり着いた。


「お兄ちゃん、ここでどうすれば良いの?」


「あの1番おっきな女神様の像の前で手を合わせて目を瞑れば良いよ。次、目を開けたら別の場所になってるはずだから」


 前回のこともあるので、絶対安全とはいいがたい感はあるが、天照様も流石に2回も同じ失敗はしないはずだ。


 俺は自分に言い聞かせるように気持ちを落ち着かせてから、結笑、真央、俺の順で並んで女神像に祈りを捧げる体勢をとる。


 次に目を開けた時には、そこは平凡なただの部屋だった。


「どこだ、ここ?」


「お兄ちゃん、凄いね!これどうなってるの?」


 俺の隣にいる真央が目を輝かせながら聞いてくる。その隣には結笑の姿もあるので今回は、全員がちゃんと来れたということで良いのだろう。


俺が安心してから真央の質問に答えようとした時に、別の声があった。


「あなた達の意識をこっち側に持ってきただけですよ。だから、あなた方が移動したわけでわないんですよ」


「お姉さんだれ?」


 突然聞こえた声に、当然のように真央は俺の後ろに隠れる。俺も聞いたことがない声だったので、気を張り直す。しかし、結笑は違ったようで、聞こえた声に言葉を返す。


「あっ、天照様!今回は失敗せずに、護くんも連れてきてくれてありがとうございます」


「やめてください。あんな事に、次なんてありませんから。あれは、私の中でも結構残ってるんですよ。後でウンディーネにもいじられましたし」


 現れた女の人と普通に会話をする結笑に俺は薄々気づいてはいるが、一応質問した。


「えっと、結笑。その人は?」


「あぁ、護くんと真央くんは初めてだったね。この人が世界神の天照様だよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る