第九十七話 頼れるのは
「ギルドの依頼大した事なかったね。魔物とかの名前が違うから、どんなのかと思えば違うのは見た目だけで、そんなに他のところと変わった点なくて、ちょっと面白くなかったな」
ギルドの依頼を受けての帰り道、隣を歩いている結笑がそうぼやく。結構不適切な発言があると思うのだが、ほとんどその通りなので言い返せない。
今日は朝からギルドで依頼を受けて、出会ったことのない魔物に緊張感と少しの興味を持ち俺たちは出発したのだ。その結果が今の状態なのだ。
いつも明るい結笑が、少し楽しそうじゃない様子にみんなのテンションも下がる。どこのギルドの帰り道でも、多少のおしゃべりもあるのに今日はとても静かだった。
その空気をどうにかしようとして、俺が口を開きかけた時だった。
「お兄ちゃん、串焼き屋ある!串焼き屋!食べたい!買って!」
「、、、串焼き?、、串焼きって言いましたか?言いましたよね!!」
真央が串焼き屋を発見し、元気に俺におねだりしてくる。さらに今俺がひきずっているアイリスも串焼きの言葉に反応して、目を覚ました。
アイリスは寝起きからテンションMAX、いわゆる覚醒するまでが、秒速のため気をつけないと、今みたいにめんどくさいモードになってしまう時があるのだ。
しかし、今日はそのノリがみんなの雰囲気を明るくした。そのきっかけをくれた真央にも感謝だし、それに無意識反応したアイリスにも今日は感謝だ。今日は特別に串焼きを2本買ってやることにしよう。
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「わぁ、なんか護さんが優しいです。怖いです。だけど、串焼きに罪はないので頂きますね。2本もありがとうございます!」
買ったばかりの串焼きを頬張る2人、その2人に釣られるように、結笑やメアナも串焼きを買っている。
「「美味しい!」」
あ
一緒に旅していくうちに姉妹みたいになってきている結笑とメアナを微笑ましく見ながら俺は次の行動を考える。ギルドの依頼をこなす事で生活資金の足しにはなったし、あとは魔王情報なのだが。
俺が唸っていると唯一串焼きを食べてないアテナが声をかけてくる。
「どうしたんですか、そんなに唸って。お花摘みにでも行きたいんですか?あっ、唸ってるということはもう間に合わなかったとか、、」
「そんなんじゃありません。魔王のことどう聞いていくのが1番早いかなって、考えてて」
アテナはボケがスルーされたことにふくれながら、少し考えて閃いたように言った。
「あなた方には強力な情報源がいるではないですか」
「強力な情報源?」
「はい、正確には結笑にですが」
ここまで聞くと流石にアテナが誰のことを言っているのか分かってくる。
「つまり、天照様に聞くのがいいんじゃないですか」
確認のようにアテナがそう言うのだった。
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