第九十六話 深まった疑問
魔王は倒さないといけないもの。
そんな考えはどこからこの世界に生まれたのだろうか。これまでに聞き込みをした中でもこの答えはなかった。誰もが魔王が誕生した事は知っている。でも、居場所も何をしているかも知らない。ただ、誕生した事を知っているだけ。
この世界にこれまで魔王という存在がいた事もない。だから、復活したわけでもない。
じゃあ、なぜ倒さないといけないのか?そして、どこから魔王が誕生したという話が広まり、勇者と呼ばれる人たちが召喚されはじめたのか。
さらに誕生した魔王というのが強力な力を持った人類を脅かすような存在ではなく、薄暗い洞窟の中で鎖に繋がっていた、自分が魔王だという事を知らない男の子だという疑問も浮かんでくる。
疑問を口にした本人であるアイリスはあまり気にしていないようだが、一つの疑問から芋づる式に、とても多くの疑問が浮かぶ。そんな謎に俺はとても興味を抱いてしまった。
「るくん、、、もるくん、、まもるくん!、護くん!」
「んっ?どうしたの?」
どうやらアイリスの質問を考えすぎてしまい結笑が俺を呼ぶ声に気づかなかったらしい。
「何考えてたの?」
「いや、アイリスの疑問考えたら止まんなくなっちゃって」
「でしょう」
なぜか、自慢げなアイリスは少し黙って置いてもらって、俺は話を続ける。
「本当になんで魔王は倒さないといけないんだろうなって思って」
そこから、俺はさっきまで考えていた事をみんなに話す。カリンさんもちゃんと聞いて考えてくれているような顔をしているので、こんなことに時間をもらって、ありがたい事だ。
そして、俺が話終わる頃にはみんなが、アイリスの最初の疑問を考えるようになっていた。
「ちゃんと話を聞くと、とても面白い疑問ですね。私もこれから考えてみたいと思います」
「私も!これからは魔王の居場所の聞き込みじゃなくて、魔王の話がどこから来たのか聞いて周りたい!」
「もし、何者かの意図があって、それが私たち女神にも干渉しているとしたら、この謎の闇はとても深いてすね、、、、」
アイリス以外の3人も例外ではなく、しっかり話を聞いてくれていたようだ。アイリスと真央が、顔からして少し話がわからないかった様だが、真央は俺の話に話に集中するとこで、カリンさんへの警戒が少し薄れているのはいい事だろう。
まぁ、アイリスはもう手のつけようがないが。本当に最初の質問をしたのが嘘かのように頭にはてなマークが浮かんでおり、途中から話を聞く気がなかったもんな。
「みなさん、これからどうして行くかがお決まりになられたようですね。私としても、最後のことは気になるので、ぜひ原因を突き止めていただけると幸いです」
カリンさんのその言葉と共に今日の長かった話を終える。そして、その日は何もせずに宿に帰った。
明日からは、ギルドの依頼をこなしながら今日の疑問の調査に出かけるとしよう。
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