　今俺の後ろで震えている真央が魔王だと言う言葉に俺たちは驚きを隠せない。だって、まだ大人というには早すぎるし、魔王という感じもない。

　真央が魔王という事は、短いとはいえ今日まで一緒に過ごして来た中で信じがたい事だった。だから、俺は聞いても意味がない事を理解しながら真央に直接確認した。

「真央は勇者様たちが倒すべき魔王なのか？」

「分かんない、、、」

「そうか」

　俺の想像どおりの答えが帰って来た。俺としては強く否定して欲しかったところはあるけど、真央からは何かを隠しているような感じでもないので、少しホッとする。

「カリンさん、真央くんが魔王というのは間違ってないんですか？私にはまだ信じられないんですけど」

　真央の様子を見ていた結笑がカリンさんに質問する。結笑だって、信じたくはないはずだが、カリンさんのスキルの前にはそうも言ってられないのだ。

「はい、間違っていないです。私も何度もスキルを使用して確認しましたが、結果は変わりませんでした。私としては、結笑様方にこれからどうして行くか、教えていただきたいと思っています」

「そうですか、、、、、」

　結笑はカリンさんの言葉に黙ってしまう。それは他の人たちも同じようでメアナやアテナも暗い顔をしている。いつも通りアイリスだけは話がわかっていないので、軽い顔をしている。頼むから今日は黙っていてほしいと願う俺である。

「私はこのままにして、真央くんを殺してしまうのではなく、一緒に旅を続けて行きたいです」

　これからに対する結笑の答えにみんなが頷く。俺だっていくら真央が魔王だと言っても、何も悪さしていないのにここで殺してしまうのは悲しすぎる。

　結笑の考えと、それを聞いた俺たちの反応を見たカリンさんは少しため息をついてから、覚悟を決めたように言った。

「わかりました。結笑様の言葉に嘘があるようには思えませんし、皆様も同意見なようなので私もこの事は黙っておきましょう」

「「ありがとうございます」」

　俺と結笑のカリンさんへのお礼の声が重なる。だって、いくらこの場で解決したとしてもそれが対外的にどう見られるかは、分かったもんじゃないからね。報告して今殺してしまおうまた今なったら困るし。

「でも、真央が魔王ならなんで魔王を倒さないといけないんでしょうね。何にも悪さはしてないし、これまでに魔王という存在がいたわけでもないですし」

　話がまとまって来た頃に飛んでくるアイリスの発言。俺はすぐに言い返そうとして、言いとどまった。

　だって、何も考えてないアイリス話なのに妙に筋が通っていると思ったからだ。

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