第九十四話 は?
「すみません。少しだけカッコつけてみたくて、、、」
カリンさんにギルドにきた理由に少し嘘をついて答えた結笑が項垂れたように答える。本当はこんなこと言わなくていいはずだったのにアイリスが変な告げ口をしたせいで、言わなくなってしまったなのが、可哀想なところだ。
「はぁ、そんな事なんですか。結笑様も可愛らしい人ですね。まぁ、そういう事なら安心しました」
「安心ですか?」
俺はカリンさんの返答に疑問をぶつける。だって、この状況で安心できないってどういう状況かわからないからだ。結笑は気づいていないが、メアナは俺に同意するように力強く頷いている。
「だって、この国を滅ぼしにきたとか、私は寝返りましたとか、勇者の役目の放棄だったらどうしょうかと思いまして」
「えっと、カリンさん、私勇者ってさっきエキストラスキルまで使って確認されたんですよね。それなのに、なんでそんな事言うんですか?」
カリンさんの返答に流石の結笑でも疑問に思ったようだ。俺たちとカリンさんの会話はとても噛み合っているとは思えない。さらにカリンさんのこれまでの話し方から、何かわかっていて俺たちに質問している風がある。
「はぁ、やっぱり結笑様たちはお気づきではないのですね。しかも今の状態を加味すると女神様方も分かっていないご様子ですし」
「えっと、何の事でしょうか?」
カリンさんの意味不明な言葉に、すごく不思議ように結笑が質問する。俺は気になって、周りを見てみるが、みんな不思議そうな顔をしている。てか、アイリスなんて立ったまま寝ている。まぁ、邪魔しないだけマシだが。
アイリスの本当に要らないところで発揮される器用さに呆れながら、前を向き直そうとした時に真央が俺の服にしがみ付くようにして、何かなら逃れるように身を隠してくる。そして、俺の服を掴む手は震えており、何かに怖がっているようだ。
その真央の急に不自然な様子に疑問を持ちながら、カリンさんの方の見た時に、その疑問の答えが分かった。カリンさんがすごい視線で真央を睨んでいたのだ。
そして、俺たちに向かって驚くべき事を結笑の質問に対する解答として言い放った。
「私のスキルで見えた事ですが、いま護様の後ろに引っ付いておられる真央様は、さっきまで話題に上がっていた勇者様が倒すべき魔王様ですよ」
そのカリンさんの言葉に俺たちの時間が止まるような感覚を覚える。そして、カリンさんの言葉の意味を理解したタイミングで、ギルド長室の中に俺たちの声が響き渡った。
「「「「えぇーー!!」」」」
「ふぇ〜、、、、何があったんですか?」
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