第九十二話 やっぱり、、


「こちらでございます」


 受付嬢さんの案内でギルド長室に俺たちは案内された。なんかこの流れって各地のギルドに行くごとにやってる気がするんだが。


 俺がひとりで次の流れを考えていると、部屋の中から声が聞こえてくる。


「どうぞ、お入りください」


「しっつれいしまーす!」


 その落ち着いた声には似合わないくらい元気な声で挨拶する結笑の声が部屋に響く。いや、絶対そんなノリじゃないだろ。


 、、、ってそう思ったのに、


「お邪魔しまーーす!」


 やりやがった。普段は串焼きの前でしかこんな元気な声なんて出さないはずのアイリスが挨拶したのだ。こいつほんとやらなくていいことだけ、本気でやるからタチが悪い。とりあえず叩いとこう。


「痛い!何するんですか!」


「ふふふ。楽しい人たちなんですね。しかし、私は結笑様とメアナ様のお二人をお呼びしたはずなのですが、どういうことですか?」


 ギルド長であろう人が俺たちをつけれて来た受付嬢に聞く。この人も結構圧がある喋り方をする人だ。面と向かって喋るのは出来れば控えたいな。


「すみません。結笑様がメアナ様と2人だけでは来てくださらないというので、仕方なく」


「あぁ、そういうことですか。それなら仕方ないですね。むしろ連れて来てくれてありがとうございました。こちらからも聞きたいことが出来ましたし」


 そう言ったギルド長さんはこちらを向いて目を合わせてくる。何、怖いんだけど、、。


「まず自己紹介しますね。私はここのギルド長をしています。カリンと言います。どうぞよろしくお願いします」


「私は湊天結笑です」


 俺たちは結笑に続いて自己紹介していく。1人一言だけど6人いるから結構かかる。


「みなさん、本当に凄い人ばっかりですね。マリアにこの紹介状持って来られた時はびっくりしましたよ。ラト国の王女様と世界神様の加護を受けた勇者様?この目で見るまでは信じてませんでしたもん」


 まぁ、そうだよな。急に来て私王女です。勇者です。さらにパーティーメンバーは神童に神です。俺がカリンさん側だったらやめてくれだわ、ほんと。


 それにしても、俺はカリンさんの言葉に引っ掛かりを覚える。何とははっきり言えないのだが、確実に少し不自然なところがあるのだが、それが分からない。そのことにモヤモヤしていると真央に心配されてしまった。


「お兄ちゃん。どうしたの?」


「あぁ、少し気になることがあってな」


 俺が真央と小さな声で話している時に前ではメアナがカリンさんに質問していた。


「えっと、すみません。自分の目で見て信じるってどういうことですか?」


 そう!それだ。俺が引っかかっていたことを的確に質問してくれるメアナ、本当に頼りになるね。どこぞのポンコツに比べて。


「そのことですか。それは私の【万能眼】のスキルですね」


「「【万能眼?】」」

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