第八十五話 勇20 再会
「ウンディーネはこういってますが、知られている女神10人は、最初みんな同じぐらいの力だったんですよ。〇〇の女神なんて呼び方もありませんでしたし」
この言葉に私は驚く。だって、それが当たり前で始めからあったものだも思っていたからだ。
そんな気も知らずに天照様は話を続ける。
「最初はみんな気まぐれだったんですよ。ウンディーネなら雨乞いの時に雨を降らせたとか、アテナならいろんな武闘大会で優勝したとか。そんな感じで呼ばれ始めたんです」
そんな軽い感じなんだ。もっと、重々しい理由とかあるのかなって思ったのに、しかもアテナ様が武闘大会で優勝ってどうゆうことだろう。
「あっ、正確にはアテナじゃなくてアテナの加護を受けていた人ですけどね。名前がついた後は人々が、私たちに祈りを捧げるようになりました。時間が経つにつれて、世界神が有名になってしまって、今では力関係があるということですね」
「えっと、じゃあ別に元からそんな区切りはなくて、それを付けたのは下界の人々だと。しかもそれが原因で力関係に違いが生まれているんですね」
「そうですね。だから、今は自然と私がまとめ役みたいになってしまいました」
女神の世界も色々あるんだなぁ。と思いながら天照様に次の質問をしようとしたところで、さっき天照様の力を借りたウンディーネ様が仕事を終わらしたようだ。
「天照様のお陰で多分つながりそうだわ。結局何処にいるかは分からなかったけど、頑張って護さんとの繋がりを太くして辿ったわ」
「よかったです。元はと言えば私のせいなので心配してたんですが、さすがウンディーネですね」
「えへへ、褒めたって私の笑い声しか出ませんよ」
ウンディーネ様が嬉しそうに笑っている。しかし、私はそれよりも大事な事がある。
「護くんが見つかったんですか!それなら申し訳ないんですが、私も早く帰られせてもらいたいんですけど」
「まぁ、そうですよね。さっきの話も聞いてますし、今度はちゃんと護さんを含めた3人、もしくはウンディーネ入れて4人で話しましょう」
「はい!」
「一応大丈夫だと思うけど、ちゃんと向こうに帰ったら護さんを起こしてあげてくださいね」
「じゃあ、行きますよ」
ウンディーネ様の忠告が終わると、すぐに視界が白くなっていく。多分天照様が元の世界に返してくれたのだろう。
そして、私が再び目を開けた時にはまたしても白い教会に戻ってきていた。私が天井を見ていることから察するに、どうやら私たちは寝たような感じになっていたようだ。
私は、隣に目をやる。護くんはまだ意識をとりもでしていない。ちゃんとウンディーネ様に言われたように起こしてあげるのだ。
わたしは一生懸命、護くんが起きるまで、名前を呼び続けたのでだった。
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