第八十三話 勇18 私1人?


 私、湊天結笑は見覚えのある部屋にいた。


 さっきまで、護くんと一緒に天照様の女神像に祈っていたと思うのに、浮遊間に襲われたと思ったらこれだ。わたしはデジャブを感じながら周りを見渡して気づく。


 ここにいるのが、わたし1人なのだ。さっきまで隣にいたはずの護くんがいない。天照様だって私だけ呼んで護くん置き去りなんて、そんないたずら流石にしないだろう。


 もう一度、部屋を見渡すけどわたし以外誰もいない。天照様やウンディーネ様もいない。真っ白な部屋にわたし1人だ。


 そんな状態に寂しさを感じていた時だった。


「すみません。私の部屋に呼んだつもりだったのですが、前回の場所に呼ばれてしまったらしく、少し焦ってしまいました」


 壁に同化したドアから、天照様が入ってくる。てか、ドアってあんなところにあったんだ。私が変な事を考えていると、天照様が不思議そうな顔をして質問してくる。


「あれ?もう一方は、どこにおられるのですか?」


「えっと、天照様が何かなさったとかじゃないんですか?」


「え?」


「えっ?」


 しばし2人の間に沈黙が走る。


 その沈黙を破ったのは、後から部屋に入ってきた第三者だった。


「あの〜、それアイリスの神童の護との加護が変なことと関係ありますかね?」


「えっと、ウンディーネは今その子と加護でのやり取りは出来るの?」


「いや、さっきまでは普通にできてたんですけど、天照様がこっちに呼んでから、なんか接続が切れたみたいになって、やりとり出来ないんですよ。さっきから、少し耳鳴りのようなものがするぐらいで」


 加護の会話ができないなんて、そんなことがあるのだろうか?もしかして護くんに何かあったんじゃなかろうか、、。私の中で不安な気持ちが大きくなってくる。


 すると、天照様がそんな私の様子を見て、場所の移動を提案してきた。私もずっとこの白い部屋ではなんか落ち着かなかったので、了承する。すると、白い部屋から出て連れて行かれたのは普通の部屋のような場所だった。


「どうぞ、お寛ぎください。結笑は不安もあると思うけど、ウンディーネが言うには命に別状があるわけではないから、大丈夫らしいですよ」


 天照様の言葉を聞いて、ひとまず安心する。それなら、まだ教会にいて取り残されているという事も考えられるからだ。


「はい、これお茶です。これ飲みながら、お話をしましょう。私もあなたの視界を通して景色が見えるといっても、気持ちまではわかりませんからね」


「えっと、でも護くんが何処にいるかわかってからじゃいけないんですか?」


「それはウンディーネに任せましたよ。どうせ少しかかるのですから一緒にお話ししときましょう」


 天照様が、隣で何かを考えているウンディーネ様を見ながらそう言う。それをみて、私も本来なら手伝いたいところだが、邪魔になってもいけないので、天照様の言う通りにしようと思う。


「じゃあ、こっちにきてからの話は一応は見てるんですから、向こうにいた時の話をしますね」

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