第八十二話 帰還
光のゲートに俺たちが入った瞬間に目の前が目の開けられないほどに光り輝いた。
俺は耐えきれなくなり目を閉じる。男の子の手は離さないようにしっかり掴んだ状態で。
『ちっ、余計なことしやがって。どこから入ったのやら』
光の中で目を閉じているときに、きこえる
声があった、俺が聞いたことのない声だったのだが、言葉の聞こえ方がウンディーネ様の加護に似ているな、なんて思う。
しかし、今の話からこの男の子がここに、拘束されていたことと、関係があるのかな。
「、、、くん!」
「ま、、るくん!」
「まもるくん!!」
自分の体の横で俺の名前を呼んでいる結笑の声が聞こえる。どうやら、ちゃんと戻ってこれたようだ。俺はゆっくり目を開けて体を起こした。すると、俺の体に結笑が泣きながら、抱きついてくる。
本当に心配をかけたなと思いながら、手に違和感を感じてそちらを見ると、男の子も一緒だった。結笑はまだ気づいていないが、俺と一緒にこっちに出れたのだろう。男の子はまだ目を覚ましていないらしく、目を閉じたままだ。
俺はまだ俺に抱きついて泣いている結笑を一旦話してから、男の子を起こす。すると、目を擦りながら男の子が起きる。しかし、結笑の方を見た瞬間に俺の後ろに隠れてしまう。
「護くん、その子だれなの?」
そんな結笑の質問にさえ、ビクビクしている男の子。いくら人見知りと言ったって、これはなんか不自然じゃないだろうか。
「この子は俺が、洞窟に行っている時に会ったんだよ。拘束されてるし、帰るところもないみたいだったから、連れてきた」
「洞窟?護くん、そんなところ行ってたの?わたしはちゃんと天照様とウンディーネ様のところに行けたのに」
「あぁ、結笑はちゃんと着けてたんだね。よかった」
「いや、よかった。じゃないよ!わたしめちゃくちゃ心配したんだからね!」
「ごめん、ごめん。俺も目開いたらそこにいたからどうにもできなかったんだよ」
そんなふうにして、俺と結笑は祈ってからの事を話し始めた。
目が覚めたら洞窟にいて、拘束されている男の子にあったこと。そして、その子と話しているとウンディーネ様の声がして、光のゲートが出来たこと。そして、ゲートをくぐるとこっちに戻ってきたこと。
全ての話を聞き終わった結笑は、少し考えるようなそぶりをしてから、俺といなかった時の話をし始めた。
それは、俺のびっくりするような話に加えて、これまでの前提を覆すような話だった。
そして、その話と俺の出会った男の子が、これから大きく俺たちの将来に関わってくるのだが、俺たちがそれを知るのは時間が経ってからだった。
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