第八十一話 急展開?


 俺の話が始まってから、結構経っただろうか。その頃には男の子ともすっかり打ち解け合い、普通に話せるようになっていた。


「それで、それで、SPY brotherはどうなったの?」


「えっとな、確かスターを剥奪されて、劣等生になってたな」


「へぇー、やっぱり面白いね。そのアニメってやつの話」


 まぁ、話の内容はこんな感じなんだけどね。そう、この子は俺の話の中でアニメやライトノベルといったオタク文化に強い興味を示したのだ。


 俺からしたらこっちの世界は、普通に小説にしてもいいぐらいだと思うのだが、オタク文化は世界の垣根を越えるというやつだろうか。


 しかし、最初にも言ったがこっちに来てから結構時間が経った。この子なんて俺がくる前からと考えると、本当に長い間ここにいるのだろう。


 早く出口を見つけないとと思う気持ちは、大きくなっていくのだが、ここに来たばかりな時にやっていたように、適当に歩いても意味がないことは学んだ。じゃあ、どうするかの話になるのだが、それは本当に全く分からない。


ザザザ、、、ザ、、ザザ、、


 しかも、少し前からこんな感じで耳鳴りがし始めたのだ。これも何かヒントになるのかな。なんて考えるのだが真相はわからない。


 男の子の方にはこの音が聞こえている風だないので、自分だけへの現象だという事は分かるのだが、この耳鳴りはひどくなる一方だ。


『護、、とび、、つなげ、、でれる、、ます』


 んっ?今、ずっと耳鳴りだと思っていたものが声に変わった。今まで助けてくれなかった、ウンディーネ様の声だ。しかも、多分今の言葉を捕捉すると、「護さん、扉を繋げるのでそこから出れると思います」だろう。


 まぁ、これは俺の勝手な解釈だから、本当にそうなるとは限らないだろう。そう思った瞬間だった。


 目の前に光のゲートみたいなものが現れる。これはさっきウンディーネ様が言っていた、扉というやつだろうか。それなら、これまで散々文句言ってすみませんでした。そちらにも何か、事情があったかもしれないのに。


 しかし、安心するのはまだ早い。ここを通って教会にもどる。そして、結笑と再開するまでは気が抜けないのだ。


 俺は、覚悟を決めて光のゲートに向かっていく。ちゃんと男の子の手も握って。


 そして、ゲートに入る前に男の子に最終確認する。


「ここから出るけど、俺たちと一緒に行くでいいよね」


「うん!」


「よし、いい返事。じゃあ行こうか」


 男の子の元気な返事を聞いたあと俺たちは光のゲートの中に入っていったのだった。

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