第七十八話 ここはどこ?


 俺が教会でお祈りをして、目を開けるとそこは薄暗い洞窟だった。周りを見渡しも誰もいない。さっきまで、一緒にいて隣でお祈りしていた結笑すらいなくなっていた。


 急に1人になったので少し寂しさはあるが、立ち止まってては、なんにもならない。だから、俺は1人で寂しく歩き始めた。


 薄暗い洞窟の中に俺の足跡だけが響く。結笑はちゃんと天照様のところに着けたかなとか、ここは何処なのだろうかとか、出口あるのかな。みたいな考えが頭をよぎる。


 こういう時に弱気になってはいけないと、自分を奮い立たせる。しかし、そう簡単に気持ちが切り替えられる訳でもないので、今の状況を整理する事にした。


 俺たちは最初に天照様の女神像の前でお祈りをした。すると、本来は天照様のところに行けるはずが、俺だけ洞窟に飛ばされてしまった。ここでは、一応結笑は無事に天照様のところにいると仮定しておこう。


 そして、洞窟の中を歩き始めたのはいいが、前に進んでいる気がしない事。


 以上が教会に入ってからの流れだ。何故か、整理すれば逆にこの状況がわからなくなる。だって、俺何もしてないんだもん。


 そんな時に俺は、ふとある人の言葉を思い出した。正確には人ではないが、、。


『本当に困った時や助けが必要になったら、私に言ってください。後輩の子を傷つけたとなってはいけませんからね』


 そう、普段はメナさんに加護を授けている筈だが、今日は俺に加護を授けてくれている女神様。名前はウンディーネ様。


 これは、本当に困った時でもあり、助けが必要と言っても過言ではないだろう。こういう時に頼るのが女神様ってものだろう。


 あぁ、なんてアイリスと比べて、安心感が違うのか。


 俺は一応周りを確認してから、頭の中で名前を呼ぶ。


『ウンディーネ様。お助け下さいませんか』


『・・・・・・』


 なんの返答もない。聞こえてないのかな?俺はそう思ってもう一度呼びかけてみる。


『すみませーん。ウンディーネ様、本当に困っているので、助けてくれませんか〜』


『・・・・・・・・ ・・・・・・』


 それでも、何も返事は返ってこない。その事に俺はだんだん腹が立ってくる。


 困ってることがあったら、助けてくれるって言ったのはウンディーネ様の方なんだよ、なのになんで、俺が呼びかけてるのに答えてくれないんだろう。もしかしたら、これを仕組んだのはウンディーネ様で、この状況を見て楽しんでいるのかもしれない。


 俺は、最後の確認というように大声でウンディーネ様に助けを求めた。


「ウンディーネ様〜。本当にこの状況に困っているので、助けてくれませんか〜!」


ガシャん!


 すると、返事の代わりに洞窟の奥の方から、微かに金属音がした。

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