第七十七話 教会
扉を開いた先に待っていたのは、真っ白な部屋だった。教会の中の椅子や、柱、壁や窓枠といったすべての場所が白く塗られている。
そして、正面には10体の女神像が並んでおり、両隣の4体と5体に挟まれている大きく堂々とした女神像が天照様なのだろう。
多分、この10体の女神像はこの世界の女神様を模しているのだろう。という事は、この中にアテナもいるのだろうが、流石に着物を着た女神様はいなかった。全員がちゃんとしている。
それにしても、女神像が10体ある中で、本当に天照様の像は大きい。どれだけ、この世界の世界神が大きな影響を与えているか、これだけで分かる。
その他の女神像はあまり変わった様子もなく、みんな同じような感じだった。なんなら、どれがどの女神様かも分かりにくい。しっかり見れば、顔の違いや服装の違いは分かるがその程度だ。
いつも見ているはずの、アテナが分からないぐらいなのだから、本当に全員見分けるのは苦労の技だ。教会側も、それを考慮してか教会前の壁側、つまり女神像たちの横に説明と、女神像の立ち位置が書いてあった。
「これが、アテナさんだって。よく見れば似てるかな、、、」
「あんまりよくわからないね。けど、天照様は似てると思うよ。あったの一回だけだけど、こんな顔をしてたはずだもん」
結笑がそんな事を言っている。まぁ、天照様はこれから会うのだから、その答えはすぐに分かるだろう。
『私もお邪魔させていただこうと思ってますよ。メアナと一緒にいれないなんて、暇でしかありませんし。暇つぶしに』
突然聞こえる声にまだびっくりするが、どうやらウンディーネ様にも会えるようだ。これはウンディーネ様の顔も予習しておかなければならない。一言多い気がするが、自分達のわがままのせいで、こうなっているのだから何も言えない。
というか、謝った方がいいレベル。もう謝ってはいるが、後からちゃんとメナさんに謝りに行こう。そして、メナさんの体を使ってもらって、美味しいスイーツでも食べてもらおう。今日食べ物の好みでも聞いて。
「天照様がまだかって?ついてるのになぜこっち側に来ないって、言われたから早くお祈り?しよ」
教会内を見ていると、結笑が天照様に催促されたらしい。
「えっと、天照様の像の前で名前を思い浮かべるんだっけ?」
「うん。じゃあ、一緒にしよ」
俺たちは、大きな天照様像の前に跪いて、顔の前で手を組む。正式な作法が分からないため、形だけだがこの際仕方ない。
そして、その状態のまま天照様の名前を呼んだ。
すると、スッとした浮遊間に襲われて、俺が目を開くと、そこは薄暗い洞窟のような場所だった。
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