第七十三話 勇14 閃いた!
ロミオン商会からの帰り、私は少し浮かれていた。だって、護くんが私たちの分の商品まで全部買ってくれたのだ。私とメアナ合わせて結構な量があったと思うけど、全部払ってくれた。
私たちの分は払うと言ったのだが、どうやらクリスさんから、もらった報酬が良かったようだ。流石にアテナさんとアイリスさんの、合わせて3つというカゴの量には驚いていたが、ちゃんと全員分買ってあげていた。
やっぱり優しい人だなって思った。
けど、お店から馬車までの移動は、自分で選んだ分は自分で運んだので結構疲れた。本当は、護くんに手伝って、って言おうと思ったのに、アイリスさんに先を越されてしまった。
まぁ、越されたと言っても、アイリスさんはあしらわれて、結局自分で持ってたんだけどね。アテナさんは割と余裕そうだけど、あれ多分アイリスさんと同じくらいだよね。
アテナさんは、ヒィヒィ言っているアイリスさんの手前、もう運び終えて馬車に乗り込んでいる。私たちでさえ、一袋で苦労したと言うのに、さすが動の女神様だなって思った。ちなみに、隣を歩いているメアナも辛そうだった。
私たちみんなが、荷物を積み終わってから宿に行くことになった。明後日まで休みだって!この機会を逃したくはないね。
私は馬車を引きながら、案を練る。どうやって、護くんとさらに距離を詰めようかな。とか、どんな話しようかなとか。
そんな、楽しいことを考えていると、すぐに目的地に着いてしまう。護くんがクリスさんに教えてもらったんだって。
護くんにフロントに行ってもらって、私たちはホールに待機していた。すると、護くんとフロントの人の声が聞こえる。
「すみません。3部屋借りたいんですけど、空いてますか?」
「、、、すみません。只今、使用できる部屋が2部屋しかない状態でして」
どうやら、混み合っていて、部屋が空いてないようだ。とここで、私の脳みそをフル回転させて、良い案を思いつく。
そして、フロントで少し迷ってそうだった護くんに代わって、私が受付をした。
「じゃあ、それでお願いします!」
「わかりました。では、料金をもらいますね。これは、部屋の鍵となります。3人部屋はこちらの部屋ですね」
「はい、分かりました。3人部屋がこの鍵ですね」
私はフロントの人にお金を払って、鍵をもらう。そして、さっき閃いた部屋割りをもとに、鍵の分配をした。
「これ、部屋の鍵だって。これ、アイリスさんとアテナさんとメアナで使ってね」
「いやいや。この場合、アイリス様、アテナ様、護さんの1部屋と私と結笑の1部屋でしょ」
珍しく、メアナが焦っているが、そんなの事私が知った事じゃない。そう思って反論しようとしたのに、メアナの意見に賛成する声があった。
「俺もその案に賛成だな。結笑さんは、メナさんと泊まったら?」
そう、護くんだ。しかし、そんな事は、想定内。私はニコニコしながら言った。
「私は、護くんと同じ部屋がいいな!」
「いいですね!これが、らぶすとーりーというやつですか、、、。私は結笑を支持いたしましょう」
「私も、それでいいと思いまーす。早く部屋に行って寝たいですし」
私の言葉に、女神様達が反応してくれる。まぁ、多分これはなんでも良い感じなんだろうけど。アテナさんはなんか変なこと言ってるし、、。
「いやっ。でも、やっぱり私たち三人というのは、、、」
メアナがなんか言ってるが、もう決定事項だと私が宣言する。
「じゃあ、これで三対ニだね。部屋割りは私と護くん。アテナさん、アイリスさん、メアナで」
さぁ、ここからどうしよっかな。
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