第七十話 いざ、街へ


『貴方こそ誰ですかって、、あれ?アイリスの子じゃないですか』


「まさか、、」


 メナさんの声がしたのは、誰かの声がした後だった。そして、メナさんはこちらに向き直って言った。


「ウンディーネ様、申し訳ありません。一時的に加護が移動することになっちゃって」


 ここで俺は理解する。俺にある女神の神童という称号が、メナさんが持つウンディーネ様の加護という称号と、結笑のスキルによって、交換されたのだ。


 話では聞いたけど、これ実体験すると本当に凄さがわかるな。


「ということなのです」


『あー、なるほど』


 俺が事を理解している間に、メナさんがウンディーネ様に事の顛末を説明してくれていた。多分、ウンディーネ様の声は聞こえてないので、一方的にだが。


『分かりました。では、私も一旦接続を切りますね。でも、本当に困った時や助けが必要になったら、私に行ってください。後輩の子を傷つけたとなってはいけませんからね』


「ありがとうございます!俺の方も出来るだけ迷惑かけないようにしますんで」


「「護くん(さん)、それ声に出さなくていいよ(ですよ)」」


 メナさんと結笑の声が重なる。なんだ、思うだけでいいのか。


 しかし、こんな感じなんだな、頭に直接語り掛けられるって言うのは。言葉にできない、変な感じ。耳から聞いてるわけじゃないけど、はっきり聞こえるし


 加護受けてる人はこうやって、会話してるんだなぁ。俺は、すぐそばにいるんだけど。


 しかし、今日は違う!たった今、呪縛から解放されたのだ。俺は自由になったのだ。


「話終わったなら、早く行こうよ!護くん。初めてだから、いつまで効果が持つか分からないし」


「そうだな。じゃあ、後、おねがしいますね。アイリスとアテナさんよろしくお願いしますね」


「はいはい、わかりましたよ。楽しんできてくださいね。あと、今日の目的忘れないでくださいね。一応聞きますからね。わからなかった。は、なしですよ」


「わかりました。行ってきます!」


 行く前に、メナさんに釘を刺されたが取れ合えず出発することができた。アテナさんとアイリスは当たり前のようにまだ、眠っていたので、起きた時に気づくのだろう。


 気づくのかな?気づかれないとかあったら俺悲しくて泣いちゃうよ。ぴえん、、。


 まぁ、それは帰ってからわかることだ。今は、楽しむことが最優先だ。


「じゃあ、ますは朝ごはん食べに行こっか」


 そして、結笑との1日はスタートした。


 2人で朝ごはんを食べて、街を歩く。出店とかも開いており、俺たちは最初に肉屋に寄ることにした。ここに来るまでで結構消費したしね。


「このお肉くだい!」


 結笑が大きなマンガ肉を燻製にしたようなものを指差して言う。それは俺も気になっていたので、止めることはしない。


「あんたたち、何も持ってないけど大丈夫かい。どうやって持って帰るんだ?」


「俺のアイテムボックスの中に入れてですかね」


 俺が当たり前のように答えた時だった。

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