第六十八話 影武者
俺は、結笑さんの言葉に驚いた。まさか、自分以外にもエキストラスキルを獲得している人がいるなんて思わなかったから。
「えっと、そのエキストラスキルを使えば、神童って役目を代わって貰えるって事?」
「うん!エキストラスキル【【影武者】】を使うとできると思うよ」
「スキルの効果って教えてもらえたりする?」
「いいよ!えっとね、、、」
気軽に許可して、スキルの詳細を教えてくれる結笑。それでいいのか、もっと警戒心とか持てばいいのに、
「【【影武者】】は、自分以外を含め、任意の相手の受けた攻撃を一回無かったことにできるとこが一つ。あと、一定時間だけ任意の相手の任意のところを交換することができるって書いてある」
「一つ目はわかったけど、二つ目ってどうゆう事?」
「えっとね、スキルや称号、見た目や性別までありと、あらゆる場所を交換できるって!やっぱり、これで代わって貰えるね。神童様」
笑顔で話す結笑だが、ことの重大さに気付いてない。そのスキルが、どれだけぶっ壊れているかを気づいてないなんて、ヤバすぎる。
「結笑、それって誰にも言ってないってさっき言ってたよな」
「うん、これまでは使う機会がなかったし」
危なかった。最初が俺だから良かったものの、他の人とかなら捕まえられて、いいように使われてもおかしくないぞ。だって、国王になりすましたり、使い勝手の良いスキルだって奪えてしまう。逆に、俺みたいに邪魔なスキルや称号を相手に押し付けることもできるのだ。
「どうかした?」
「結笑、そのエキストラスキルのことは、本当に信頼できるやつにしか言ったらダメだぞ。気軽に口に出すのも当たり前だが、ダメだからな」
「うん、わかった。でも、護くんは信頼してるし大丈夫だよね!」
結笑に釘を刺したはずが、俺の心に矢が飛んでくる。なんて攻撃力だろうか。勇者様恐ろしい子。
「大丈夫だよ。むしろ俺が最初で本当に良かったと思う。てか、その方法で行くなら誰に代わってもらうの?」
「えっ?それはメアナだよ。メアナしかいないじゃん。アテナさんは女神様だからって考えるなら、メアナしかいないじゃん」
「えっと、、でも、メナさんは今日もアイリスとアテナさんと一緒にいるんだし、、」
「大丈夫、大丈夫!ちょっとだけだって、ずっとじゃないんだから」
仮にも、一国の王女様に対してそんな。でも、メナさんしか居ないのは事実だ。俺たちのパーティーは、女神2人に勇者と王女、あと俺。これで、俺と結笑が出かけてしまうとなると、、、。
「ごめんなさい!少しだけ、少しだけ、代わってもらうことは出来ないでしょうか?!」
次の日の朝、俺はメナさんに頼み込んでいた。
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