第六十七話 甘い空気。からの、、
「さぁ、なにしよっか?」
静かな部屋の中に、結笑さんの楽し気な声が響く。
「明日の話でもしよっか。メナさんたちも呼んで、みんなでどうするか」
「いや、護くん明日は自由行動にするって言ってたじゃん。それなら、メアナたち呼ばなくても、2人でできるでしょ」
俺がおどおどしく発言した案の痛いところを的確についてくるあたり、勇者に向いているのかもしれない。俺はそんなことを考えた時に、今日のクリスさんが話していたことを思い出した。
「そういえば、この世界の勇者って、結笑さん1人じゃないらしいよ。この世界の各国が召喚してるみたい。結笑さん知ってた?」
俺が結笑さんの方を見ると、すごく不機嫌そうに頬を膨らませていた。なにそれ、可愛い。
「どうしたの、そんな顔して」
「いい加減、その結笑さんって言うのをやめてほしいなぁ。と思いまして。私だけ護くんって言うのも違う気がするんですよねぇ」
質問に対して、予想外の返事を返してくる結笑さん。俺が何を言い返そうとも引かない、と言ったように俺をじっとみている。
「結笑、、、はい!これでいい?」
「、、、、うん」
結笑さん、、、結笑が少し恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうに返事を返してくる。本当にその笑顔は反則だと思う。俺は、この甘い雰囲気をどうにかすべく、話を元の路線に戻すことにした。
「それで、結笑、、、はその勇者の話知ってた?」
「いや、聞いてないよ。普通に私だけだと思ってたし、何も知らないかな。けど、その話は私も気になるから、明日一緒に出かける時に話聞いてみようか?」
「うん、そうだね。そうしよっか、うん?一緒に?」
「うん!一緒に」
「ちなみに、誰と誰が?」
「それ、わかってて言ってるよね。当然、私と護くんだよ」
わかってはいたが、さも当然かのように答える結笑。本当にここまでストレートに来られると困ってしまう。
「いやいや、俺アイリスと離れられないから」
「じゃあ、その時だけアイリスさんの神童を代わって貰えばいいよ」
「そっか、そっか。代わって貰えばいいのか〜。それは名案だなあ」
「うん!名案でしょ!」
「って、代わってもらう?そんなことできんの?」
結笑の口から出た言葉に俺は驚く。そんなことができるのか?そんなことができるなら、もう、アイリスの面倒を見なくて済むではないか!それで、どれだけ俺が解放されることか!
「うん、一時的にだけどね」
「うん?一時的に?」
「うん、私のスキルで【身代わり】って言うのがあるのは知ってるよね」
聞いたことがある。確か、味方が受けた攻撃を自分が身代わりするスキルだったかな?
「うん、知ってるよ。でも、それがどうかしたの?」
「私もこの事を知った時にびっくりしたし、まだ誰にも伝えてないとこなんだけど、それのスキルレベルが10になって、エキストラスキルって言うのが獲得できたの」
えっ、なんだって?
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