第五十八話 入国

 やっと、やっとだ。


 俺たちの目の前には検問場が見えていた。アイリスのキラキラ事件がなかったら昨日には着いていたはずなのに。ラト国から本当にここまで日がかかったな。予定より大きくずれてしまったが、まぁこれが初めての国を移動するような大移動だから、いいとしよう。


「護さーん、まだですか?結構並んでるはずですけど、、」


 遅れた原因を作ったアイリスが、何食わぬ顔で聞いてくる。


「もう少しで、順番が来ると思うからみんな準備しといてくれ」


 クリスさん曰く、検問場ではギルドカードなどによる身分の確認、犯罪歴の確認をするようだ。


「はい。じゃあ、次の組の方」


 ガタイのいいお兄ちゃんが、俺たちに声をかける。普通に喋るだけで威圧感があるのは、門番?としていいことなんだろうか?


 そんなことを考えながら、俺たちは順にチェックしてもらう。結笑さんやメナさんが普通に通れているのはなんでだろう。勇者と隣国の王女様とはずなんだけどな、、。


「あれ〜、すみません。少し待ってくださいねぇ」


「もういい!後だ後!」


「おい!お前が最後だぞ!」


「すみません、護さん。ギルドカードを見失ってしまって、、、」


 そんなことをアテナさんが、言いながら俺の後ろに回る。ギルドカードの紛失って結構大きな問題なんじゃ無いのかな?


 ギルドカードを探しているアテナさんを除くと、俺が最後になってしまったらしい。普通にギルドカードを見せて、チェックも終わったみたいなので、通らせてもらおうとした。


「おい。お前、荷物がこんなに少ないのはなんでだ?」


 そんなことを聞かれてしまう。てか、なんで俺は止められるんだろう。


「俺のアイテムボックスに、ほとんど入れてるからですね。馬車に乗せてたんですけど、予想外に荷物が増えてしまって、、」


 俺は正直に答える。すると、門番の人は驚いたような顔をして俺の口を塞いだ。そういう時って、自分の口を塞ぐもんなんじゃ無いの?


 なんて思っていると、門番の口から衝撃の言葉が出てきた。


「おいおい、そういう事を大きな声でいうんじゃ無い!俺が聞いてしまったのが悪かったから、一応聞くがアイテムボックスの中に変なもの入れてないよな?」


 こそこそ声で門番さんが聞いてくる。


「変なものってなんですか?」


「その反応はなんも無いな。じゃあ、通りな。色々と注意して行動するんだぞー」


 門番さんはそう言って俺たちを送り出せる。


 何はともあれ、俺たちは無事にミロナン王国に入ることができたのだった。


 でも、門番さんは何をあんなに焦っていたんだろう?別に変なことはしてないはずなのになぁ。


 あと、なんか忘れている気がするのだが、思い出せないってことは大したことないんだろう。

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