第五十七話 あと少し、、、?
「今思ったんですけど、馬車の荷物って、護さんのアイテムボックスに入らないのですか?」
俺の頭の中に雷が落ちた。
なぜ、その可能性に気づかなかったのか。俺はランクも上がって、アイテムボックスのレベルも上がっていている。それだけ、容量も増えているということだ。
で、入った。
全て収まってしまった。いゃ〜、アイテムボックスってスゲェなぁ、、。結構な量があったのに、クリスさんの荷物含め俺たちの荷物も全て入ってしまったのだ。
これまでの苦労はなんだったのか。俺がアイテムボックスの中に荷物を全部入れた時のみんなの顔ときたら、驚き7割、呆れ3割ぐらいの顔をしていた。まぁ、そうなるよね。
休憩も終わりにして、再出発したのだが、進むこと、進むこと。全ての害悪である荷物がなくなっただけでこんなに進むなんて。
隣で馬を引いている結笑さんは不服そうな顔をしているがなぜだろうか?こんなにも順調なのに。
クリスさんにも「この調子で行けば、今日の晩にはミロナン王国にもつけるだろう」って、言われたので、俺はゴールが見えたことによって気が緩んでしまっていたのかもしれない。みんなもそうで、ほとんどの人が眠ってしまったようで、寝息が聞こえてくる。
いま、考えるとその時に、全員が寝ているか、ちゃんとみんなの様子を確認しておけばよかったのだ。結笑さんが馬を引いているのだから、馬車の中を見る余裕はあったのに。
俺たちは結局野宿をしていた。
あの後、あのバカが馬車の中でキラキラしたのだ。馬車の中で眠っていたのはアイリス以外だったことが、さらに被害を拡大させ、服は汚れるわ、馬車の悪臭は酷いわで休憩や洗濯(ほとんどウンディーネ様による)をしていると日が落ちてしまったのだ。
「今日のご飯、美味しいですね。ありがとうございます」
「本当に美味しいよね。ありがと、護くん!」
「串焼き食べたいです〜」
「私まで貰ってしまって、本当にありがとうございます」
「美味しゅうございます」
野宿の晩御飯は俺の担当のため、みんながお礼と言ってくれる。食ったのもに対して反応が返って来るっていいよね。俺はアイリスの晩御飯を奪いながらそう思う。
1人で食べたり、作ったりするよりやっぱりみんなで食べた方がいいよね。うん、我ながら美味しくできた。
「あー!それ私の分なのに〜、、。なんで食べちゃうんですか!」
こいつ、さっき吐いてたよな?俺はそんな疑問もあるが、俺はさっきの感謝の中に紛れていた言葉を聞き逃してはいないのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます