第五十二話 旅立ち


 用も済んだし宿に帰ろうとした時だった。


「待って、護くん!」


 後ろから声をかけられる。その声に振り返ると、目の前に結笑さんがいた。


「今日のこと、王様に説明させてもらうからね。だから、明日から一緒に旅しようね!」


 そして、驚くべき事を俺に言ってくる。王様に報告する?そんな軽く言って良い事なの?


 そんな、疑問は当たり前のようで結笑さんだけが納得していた。それに見かねたメナさんが捕捉してくれる。これまでの付き合いから分かることもあるのだろう。


「結笑は、あなたと一緒に旅に出る事を報告するって言ってるんですよ。そして、多分明日からでも行きたいって事を伝えたかったんです」



 メナさんの補足に対して、結笑さんが頷いている。足りない言葉が多すぎて、補足が必要にはなったが、俺はようやく理解することができた。


 しかし、さすがに明日からって言うのは気が早い気がする。そんな事を言おうとした時だった。


「明日は休ませて下さい〜。精神的回復の時間が必要です〜」


 今日は、叱られ、よぼよぼになっていたアイリスが口を挟む。瞬間、結笑さんに睨まれて悲鳴を上げていたが、俺も意見自体には賛成なのでその意を伝える。


「結笑さん、俺も明日はさすがに無理かな。食料や旅の準備も必要だし」


 その言葉を聞いた、結笑さんは少し残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔に戻りこちらを見ていった。


「じゃあ、今日みたいに一緒に行こうね!」


ーーーーーーーーー


 俺たちは、その言葉通り一緒に必要になるものを買いに行った。結局、俺、アイリス、アテナさん、メナさん、結笑さんの6人での行動だったので、結笑さんが膨れていたが仕方ないだろう。


 ちなみに、俺達が結笑さん達と一緒に魔王討伐のメンバーとして旅に出る事は、王様からも許可が出たようだ。本来要らないものらしいが、女神様がいるパーティーとなると初めてのことなので一応とのことだった。


 許可が降りてからは、出発の準備として買い物を進めていった。アテナの顔を隠せる外套、食料やポーションをアイテムボックスにっこんでいく。


 行動メンバーの中で、俺だけが男で他が綺麗な女性ばかりなので、地区内での恨みの視線が痛かった。これは早く男子メンバーを確保しなければ、、、。


 そんなこんなで、俺と結笑さんが初めてあってから1週間が経過していた。旅の準備は整い本日出発である。


 本格的に魔王討伐への旅が開始する。神になると言う本来の目的は忘れてはいけないが、まずはこちらの問題を対処することに専念しよう。


「それでは、魔王討伐の旅へ出発!」


 結笑さんの元気な声と共に俺たちは出発したのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 第一章完結です。


 幕間を挟んでから第二章に入ります。

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