第四十九話 返事とすり合わせ


「まず言いたいのは、別に結笑さんが好きとか嫌いとかじゃなくて、俺にもしないといけない事があるんだ」


 俺は、みんなが椅子に座ったのを確認してから、話し始めた。


「魔王討伐には参加させてもらおうと思っているよ。張り紙の似顔絵を見た時からもしかして、って言うのもあったし。でも、その後どうなるかわからないんだ」


 俺の言葉に結笑さんが質問する。


「わからない?」


「そう、俺は神童になってしまっていてアイリスから離れられないんだよ。しかも、離れるためには、神にならないとならないといけないときたもんだ。さらに神界に戻れなくて困ってる」


 それを聞いた結笑さんは、分かったような、分からないような難しそうな顔をしている。俺が追加で説明しようとした時に、結笑さんの隣に座っていた人が捕捉してくれた。


「神童というのは、女神様の見習いのようなものですよ。そして、私が前に言っていた苦労しておられる方っていうのはこの方のことです。お久しぶりですね。護さん」


 なんと、結笑さんと一緒にいた人はメナさんだったようだ。でも、なんで一緒にいるんだろう?なんか、結笑さんと仲も良さそうだし。


 そんな疑問はメナさんの次の言葉で解決した。


「私は、ラト国第1王女 センタ・ラト・メアナ。私のお父様、いわゆる国王様の言葉により、勇者結笑様の補助役を受け賜っております」


 突然すごく丁寧な言葉になり、自己紹介をしてくれる。しかも、第1王女だって?そんな人と俺は話したことがあったのか。


 驚きの連続で落ち着くことができない。常に頭はフル回転だ。この場にいる全員が絶妙に関係があり、どうして今の状態になっているかわからないため、大変なことになっている。


「新堂くん!魔王討伐の旅の最中は一緒にいてくれるんだよね?」


 これまでの情報を整理し終えたのか、結笑さんが質問してくる。


「まぁ、俺の性格上、頼まれたら断れないからな。旅の最中は一緒にいる」


「じゃあ、チャンスはたっぷりあるんだ。これから好きにさせていけば、、、、、」


「えっ?なんか言った?」


「ううん、ないも言ってないけど」


 結笑さんが、何かボソボソと言っていたようだが聞こえなかった。聞いても言ってないと言われてしまったし、気にしないようにしよう。


「じゃあ、これからよろしくね、護くん!これからの事はカードで送るから!」


 俺はこの日知ったのだが、ギルドカードにはメールのような機能がついていたらしい。これまで、友達が少なかったもんだから、、、。あと、俺護くんって呼ばれた?


 そんな事を考えていると、突然結笑さんの雰囲気が変わった。


「少しだけお時間よろしいでしょうか?」

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