第四十八話 勇11 告白


「「天照様!」」


 隣から聞こえた、私に加護を授けてくれている神様の名前に私は、声のした方向を見る。


 そこには2人の女の人と1人の男の人がいた。天照様を呼んだのは女の人らしい。


『アイリスとアテナではありませんか。こんなところにいたんですね。でも、なぜアテナまでいるのしょうか?』


 頭の中でそんな声がする。女の人たちは天照様と知り合いのようだ。世界神と知り合いってすごいな、と思いながらわたしは男の人を見る。


 その驚いた顔を見て、私も驚いてしまった。


 そこに護くんがいたのだ。私を守ってくれた人。死んでしまったと思っていた人。そして、私が好きだった人、、、。


 いろんな思いが溢れてくる。私の口から漏れた言葉は、綺麗にまとまったものではなかった。


「新堂 護くんだよね。生きてたんだね、本当によかった。私、ずっと後悔してて。思いも伝えられないまま、私のせいで死んじゃったと思ってたから、、、、」


 しかも、伝え終わる前に涙が溢れてきてしまう。伝えたいことは山ほどあるのに言葉が出てこない。


 私が泣いていると、護くんがここじゃ目につくからと部屋に案内してくれる。私はそれに着いていくが。落ち着くことは出来なかった。


 目の前に好きな人がいる。もう思いを伝えられないと思っていた人が。ここでお別れは嫌だ。思いを伝えられないのは嫌だ。


 私は決意した。そして、私たちが部屋に入った瞬間に言った。


「新堂 護くん。私はずっとあなたの事が好きです。これから一緒にいてくれませんか?!」


 そう。私は告白したのだ。思いを伝え、これからの願いも告げる。護くんはぽかーんとしているが、私はそこに畳み掛けるように言った。


「気持ちを伝えられなかったことに、後悔してたのでもう後悔したくありません。一緒に魔王討伐して幸せに暮らしませんか?!」


 少し恥ずかしくなってしまって、魔王討伐した後みたいになってしまったが、私の願いを伝える。本当に私はもう後悔だけはしたくない。護くんと一緒にいたい。


 1秒でも長くいたいのだ。これから先私たちがどうなるかなんて、考えなくていい。今を精一杯に生きるのだ。


 私はそんな意志を込めて護くんを見つめる。しかし、帰ってきたのは冷静で冷たい言葉だった。


「ごめんなさい。魔王討伐は強力するけど、一緒に暮らすっていうのは、まだ約束できないかな」


 その言葉を聞いた瞬間に私は泣きそうになる。後悔したくないって言っても悲しい物は悲しいのだ。だから、足掻いて私は質問する。


「私じゃ、ダメってことですか?私のこと嫌いですか?」


「いや、いや、いや、、、。そう言うことじゃなくて。一旦落ちついて話そうか」


 私の質問はそう流されてしまった。でも、ここまできて見つけたのだらか諦めたくない。


 私はそこにあった椅子に座りながら決心するのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る