第三話 えっ、それだけ?


「はい、じゃあ説明を始めますね」


 女神アイリスが説明を始める。

(ちなみに部屋は移動しました。話に集中できないので)


「貴方は、銃で撃たれて死にました。だから異世界転移してもらいます」


「はい、それで」


「えっ?それで。とは?」


「えっ、もっとなんか説明があるんじゃないの?そんな適当すぎる説明でいいと思ってるの?」


「適当ってなんですか!これでも頑張って覚えたんですよ!」


 どれだけ、記憶力がないんだろう。本当にポンコツだなこいつ。俺は呆れながら質問してみた。


「なんで、異世界に転移しないといけないの?」


「えっと、、、はい!あなたには、実験体になってもらいます。今から、貴方にいってもらう世界には魔王と呼ばれるモンスターが眠っています。その魔王を、倒すための勇者が、地球にある日本の人間さんなんですね。そのため、その世界に日本の人間が行けるか調べないといけないのです」


 ポンコツ女神は手元にある、タブレットという名のカンペを見ながら説明した。


「要約すると、勇者が向こうに行ってから何か問題があったらいけないからお前がそれを確認してこいってこと?」


「はい!そうです」


「まぁ、いいや。それで何をすればいいの?」


「なんでもいいですよ」


「なんでもいい?」


「はい、向こう勇者が行っても問題がないのか?と、いう実験なのであなたが異世界に行けた時点で終了なんです。」


「そうなんだな、じゃあ、他になんかあるか?」


「他にとは、何ですか?」


「スキルとかアイテムとかだよ。所謂、転移特典みたいなの」


「あっ、特典ですね。本来は勇者に選んでもらうんですけど、今回は実験なので【不死身】のスキルをもった状態で転移してもらいます」


「はぁ!【不死身】って何でだよ」


「はい、結構、神たちの間でも揉めましてね。今回は実験なんだから、スキルなんて渡さなくていい派と、実験だから勇者と同じようにした方がいいって派で割れたんです。そこで私思い付いたんですよ。じゃあ【不死身】にしちゃえばどうですかって?」


「それで、会議とやらはどうなったんだ?」


「【不死身】をあげるとスキルは持たせることができるし、もし向こうの世界に行く前に死んでしまっても、また実験体を作らなくていいじゃないかってことで、私の意見が通りました」


 神はバカたちしかいないのかな?それじゃあ、一生死ねないじゃないか。実験とやらが終わった後はどうするんだよ。と素朴な疑問が浮かんだ。


「不死身と言っても歳はとりますし、寿命で死ぬことはできますよ。所謂、老衰ってやつですね」


「お前、俺の考えてることわかるのか?」


「わかりませんよ。まだ、そんなに力ありませんから。さっきのはこれに、不死身の説明として書いてあったからです」


 あっ、もう堂々とカンペを見せ始めたよ、こいつ。


「理解したよ。じゃあ、俺はこれから【不死身】の体で異世界を探索してくればいいんだな?」


「はい、そうです。飲み込みが早くて助かります」


「それじゃあ、頼むわ」


「待ってください、まだ準備が終わってません。そんなに焦らせないでください!」


「わかったよ」


 もうこんな、ポンコツ女神とも会うことはないだろうと思い、最後ぐらい優しくしておいた。


「よし!できました。それでは、新堂しんどう まもるさん。転移できたら、異世界生活楽しんでくださいね」


 アイリスの、その言葉と共に目の前が白く染まっていくのであった。

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