第一話 その日、俺は死んだ。
その日も俺、
授業中、急に放送が入った。
「この学校を占拠した。命が惜しくば何もしないことだなぁ。これから俺たちは、この校舎にいるお前らを人質に取る。俺たちの指示をよく聞くことだな」
その放送を聞いた瞬間、教室がざわつき始める。
「何これ、ヤバくない」
「やらせだろー」
学校中がざわつき始めたその時だった。
「パン!パン!」
銃声が響き渡るのと、俺たちの教室に銃を持った男たちが入ってくるのは同時だった。
「おら!手を上げて、教室の隅にかたまれ!」
俺たちは、その指示に従うしかない。クラスメイトたちが移動を始める。男たちは黙ってそれを見ている。
隣の教室からも同じような音がしているので、全ての教室で行われていることになる。何人かのが犯人がいるのだろうか
早々に移動を終えていた俺は、そんなことを考えていた。そして、教室にいる男たちの様子をそっと窺う。少しイラついているように見える。僕たちの移動が遅いせいだろうだ。
その時だった。
「ガシャン!」
銃声とは、また違う、聞き慣れた音が教室に響いた。
どうやら、クラスメイトの女の子が椅子に躓いて転んでしまったらしい。
男たちは驚いていたが、イライラしたような顔を引っ込めた。そして、男はこれは良い見せしめを見つけた。と言うような顔をして、俺たちにこう告げた。
「俺たちに反抗するような態度を取ったり、指示に従わないとこうなるんだよ!」
俺の体は動いていた。
その女の子とは、あまり付き合いがなかったはずなのに、生身の人間が出でいったってどうにも出来ないと知っているはずなのに。
彼女に向けられた銃が、火を吹くコンマ何秒かの世界の中で、俺の体は銃の前に飛び出した。
「バン!」
教室内に悲鳴が響く。
視界が暗くなる。体の力が抜けていく。
「護くん!!」
誰かが俺を呼んでいる気がする。
あぁ、俺は死ぬんだな。年齢=彼女いない歴の俺だし、友達も多い方じゃない。
俺が死んだ時、悲しんでくれる人がいれば良いなぁ。
そんなことを思いながら俺は、意識を手放すのだった。
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