第14話 晩ご飯 その1

 ……


 晩ご飯作りも問題なく完成して、結花との晩ご飯の時間で有る。

 僕の家の食事は基本、キッチンに隣接しているダイニングテーブルで摂る。


 ダイニングテーブルは、最大四人まで座れるように成っているが、現在は二人で有る。

 出来れば……この最大数まで、僕と結花の力で埋めたいと思うが、まだ、それは先の話で有ろう……///


 おやつ類を摂る時は、ソファーが有るテーブル側で摂るが、三食の食事はダイニングテーブルで摂る時が殆どである。


 僕と結花の二人家族なので、料理の殆どは盛りきりで出される。

 今晩のメニューも、味噌汁以外盛り切りで有る。

 例外なのは、カレーなどの煮込み料理や鍋料理ぐらいで有る。


 二人の大きな丸皿には鶏の唐揚げが数個乗っており、千切りキャベツも添えられている。

 僕は食べ盛りを迎えているから、鶏の唐揚げの量も、結花より僕の方が多い。


『カシャ、カシャ、―――♪』


 結花の中で、今晩の料理は見栄えが良いと判断したらしく、スマートフォンで写真を撮っている。


 なので結花は毎回。料理写真を撮っているわけでは無い。

 後か後日に、結花アカウントのSNSへ、さっき撮った写真を投稿するのだろう。


「おまたせ、陽向!」

「撮り終えたから、食べようか!♪」


 結花はスマートフォンをテーブル上に置きながら、笑顔で僕に言う。

 僕は和やかな表情で、結花に返事をする。


「うん!」

「だね!!」


「いただきます!♪」


「いただきます!♪」


 二人で食事前の挨拶をして、今日の晩ご飯が始まる。

 僕は早速、笑顔で唐揚げに箸を付けようとした時……


『カシュ!』


 結花は毎日では無いが、晩ご飯時に飲酒をする。

 さっきの音は、缶ビールのプルトップを開けた音である。


「~~~」


『シュシュワ~~!♪』


 結花は和やかな表情で、コップに缶ビールを注いでいる。

 結花の飲酒(晩酌)は、孝太郎が死ぬ以前からしている。


 孝太郎も、酒は結花以上に好きで有り、週末は良く二人で酒を楽しんでいた。

 孝太郎が生きていた時は晩ご飯時及び、僕が自室に戻ってから、結花と孝太郎はリビングで二次会を開催していた。


 ……


 孝太郎が死んだ直後の結花は寂しさを紛らわすため、一時かなり飲酒をしていた時期が有った。

 具体的な量で言えば……一本のワインボトルを二日ぐらいで、開けてしまう勢いである。

 それを孝太郎が死んでから、数ヶ月間続いた……


 結花は孝太郎を失った寂しさと、これからの不安を払拭するために、飲まないとやってられない状態だった。

 まぁ……そうしたのは、僕で有るが……


 結花が酒に溺れている間。

 僕はそれを見守るしか無かった。


 酒(エチルアルコール)は、この国で唯一認められている“合法麻薬”で有るからだ。

 結花が酒を飲んで、結花が酔った状態で僕は結花の側に行き、結花の息は酒臭いで有るが、この状況を逆手にとって、僕は更に結花と関係を深めさせた……


 酒の力と僕の積極的なスキンシップから……月日が経つと、結花は段々と落ち着いていった。

 孝太郎を失ったショックから立ち直るに連れて、結花の飲酒量も減っていったが、僕と結花のスキンシップ数は僕が減らせなかった。


 そして……今の関係が完全に出来上がった。

 親子だが、親子以上のきずなと愛情を作り上げた……


 ……

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