第7話 絶望と幸福

「はっ、はい…!///」

「新居浜孝太郎の妻である、新居浜結花です!!//////」

「あっ、あの……孝太郎は……無事ですか!?//////」


「…………」


 結花は若い男性警察官に、頬を染めて焦った表情で尋ねているが、若い男性警察官は僕達が当事者の家族だと分かった途端、表情が暗くなる!!

 もう一人の男性警察官は、僕達を観察するように見ている。


(この様子だと……孝太郎は既に逝っているな!)

(だからこそ、こんな物々しいのだな…)


「新居浜さんの……ご家族の方ですか…」

「では……今から、ご案内します……」


 若い男性警察官は官帽かんぼうを下げて、悲しいような困った表情で結花に言う。

 若い男性警察官は結花に言葉を言った後。体の向きを変えて無言で歩き始める。


「……」


「……」


 僕と結花は無言で、二人の男性警察官の後を付いて行く。

 孝太郎の職場上司らしき男性も、僕と結花の後を付いてくる。


 そして、二人の男性警察官が、僕と結花を案内した場所は……集中治療室や病室では無く……霊安室で有った。


 ……


「うあぁぁ~~ん//////」

「あなた~~~~!!//////」


「どうして、どうして!!//////」

「さっきまで、あんなに元気だったのに~~~うあああ~~//////」


 霊安室内に、結花の悲痛な声が響く……

 僕も結花の声を聞いていて、とても胸が痛い……


 無機質な室内にベッドが一つだけ有って、そのベッドに孝太郎の亡骸が乗せてあり、その上にシーツが掛けられている。


「…………」


「…………」


「…………」


 二人の男性警察官や、孝太郎の職場男性上司も目を背けている。

 見るに堪えないと、言う奴で有る。


 僕は結花の悲痛声を聞いた時…。はじめて、人を殺したんだなと実感した。

 僕の感情も、やり過ぎだと警告を発している……


 僕(俺)は、前世での殺しはしていない。

 だが、こうするしか無かった……


 ……


 お偉いさん側の男性警察官によれば、孝太郎が運転していた車が突然暴走を始めて、他車との接触や信号無視を数回繰り返したのち、車は道路案内標識柱に激突した。


 直ぐ近くの人の通報によって、孝太郎は消防隊及び救急隊に救出されたが、その時点で既に心肺停止状態だったらしい……

 現在。警察は事故及び事件で、この捜査を進めているそうだ。


「うあぁぁぁ~~~ん///」


 結花は心底。孝太郎が好きで有ったのだろう。

 亡骸と成った孝太郎の胸の上に、結花は体を預けて泣いている。


 だが、その光景を見ていると、僕は凄く腹正しく成って来る!!

 僕が結花の側にいるのに、何故そんなに泣くんだ!!

 結花は僕のことが好きなんだろ!!


「……///」


 僕は泣きわめく結花の側に行き、結花を背中から抱きしめる。

 僕はその時、涙を流していた。


 だが、この涙は孝太郎を失った涙では無く、孝太郎に嫉妬した涙で有った。

 僕は頬を染めた泣き顔で、結花に話し始める。


「お母さん!//////」

「お父さんが居なく成っても、僕がここに居るよ!!//////」


「だから、泣かないで!!//////」

「僕……ずっと、お母さんの側にいて、支えていくから~~!!//////」

「うあぁぁ~~ん//////」


 僕は、本気で泣いて結花に言う。

 邪魔者は消えたのだ。結花が死ぬまで、僕は結花の側にいる!!


 二人の男性警察官や、孝太郎の職場男性上司も、僕の言葉を聞いて感激しているに違いない。

 孝太郎が死んだ以上、僕がこれから結花を支えて行かないといけない。


「……ぐすっ!///」


 僕の気持ちが通じたのか、結花は泣くのを止めて、孝太郎から僕へ意識を向き始める。

 結花は上手に体を反転させて、僕に目線を合わせて、泣き顔では有るが頬を染めて、微笑みながら言い始める。


「陽向……//////」

「ぐすっ……ありがとう!//////」


「家族が、私たちだけに成っちゃったけど……二人で、頑張っていこうねぇ~!//////」

「陽向~~//////」


「……お母さん…!//////」


 ……

 …

 ・


 僕はこうして……かなり強引な方法で、親子ながらでも結花と関係を深めさせた。

 結花は孝太郎を失った影響からで、今まで以上に僕を愛するように成った。

 この辺りから、僕は結花のほおへのキスも始まり出す。


 だが、関係を深めたからと言って、僕はまだ小学校高学年前だからミルクも出ないだろうし、結花も近親相姦はまだ望んでいないだろう……


 これが……僕と結花の始まりで有った。


 ……


 第1部 第1章 敵は潰す


 おわり


 第1部 第2章 僕と結花の関係へ続く……

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