第5話 職員室
早退の準備が出来た僕は、怪訝な表情をしながら、自分の席から葛城先生の元に向かう。
「……先生。来ました…///」
「はい…。新居浜さん!」
「では、先生と一緒に行きましょう!!///」
僕は落ち着いた口調で葛城先生に言うと、葛城先生は緊張しているのか、声を張り上げながら言う。
『ざわ、ざわ、―――』
僕に関することでクラス内は“どよめいて”いるが、僕はそんなことを気にしない。
僕が気にしているのは、孝太郎が死んだか、死んでいないかだけで有る。
『タタッ、―――』
葛城先生はかなり動揺しているらしく、教室の扉を閉めずに教室を出て、足早に職員室方向へ向かっていく。
僕も小走りで、葛城先生の後を追う。
……
僕は葛城先生と共に職員室に入り、空いている適当な椅子に座らされて、僕は結花(お母さん)が迎えに来るまでここで待つようだ。
「新居浜さん!」
「後は……教頭先生にお願いするから……お父さん、ご無事だと良いね!///」
葛城先生は頬を染めながら、困った微笑み表情で僕に言うが、僕は彼奴が生きていたら困る。
だが、それを葛城先生に言うわけには行かないので、僕は悲しそうな表情を演じて、葛城先生に言い始める。
「はい……先生。無事だと良いです…///」
「……?」
だが、僕の言葉で、葛城先生は不思議そうな表情をする!?
僕が余りにも冷静すぎるから『何か、おかしいと…』と、気付いたのだろう!
だが、僕は前世の記憶や知力・知識を使って、品行方正に生きている。
普段から、礼儀正しい子で通っているから、これ以上の詮索はしてこないはずだ。
「……では、内山田教頭先生。お願いします!///」
「はい。分かりました。葛城先生!」
「葛城先生は、教室の方へ戻ってください!!」
「新居浜君のことは、内山田が引き継ぎます!」
この教頭(内山田)先生は男性で有り、頭部も薄い人で有る。
何処にでもいる、量産型教頭で有ろう。
葛城先生は僕の予想通り。詮索はせずに教頭先生に僕を引き継ぐ。
教頭先生は当たり前の言葉を、真面目な表情で葛城先生に言う。
「新居浜さん!」
「直に、お母さんが迎えに来ますから、しばらく此処で待っていてくださいね…!」
教頭先生は穏やかな表情で有るが、事務的言葉で僕に言う。
如何にも慣れている感じで有った。
教頭の役職に就いているのだから、このような面倒事を全て引き受けなければ成らないのだろう。
言葉の後。教頭先生は自分の席に戻っていく。
今の時間は授業中で有るので、職員室内は教頭先生以外に僅かな人(先生)しか居ない。
……
『タタッ、―――』
『ガラッ!』
僕が職員室に連行されてから10分後ぐらいに、ノックもせずに誰かが慌てている感じで、職員室の扉を勢いよく開ける!
「はぁ、はぁ、―――///」
「すいません!///」
「新居浜陽向の母です!!///」
「陽向を迎えに来ました!!///」
職員室の扉を開けたのは結花で有った。
此処まで走ってきたのだろう……息を切らしながら、結花は焦った表情で言う。
姿も普段姿で有り、そのままの格好で僕を迎えに来たのだろう。
結花にとっては緊急事態で有るのに、
結花の言葉で教頭先生は座席を立ち、結花への対応を始める。
「……お疲れ様です。陽向君のお母さん…」
「陽向君は、こちらに居ますので……」
教頭先生は落ち着いた態度で、僕が居る場所を右手で指し示す。
僕はその言葉で、椅子から立ち上がると……結花は僕の方へ飛び込むように迫ってきて、僕を急に抱きしめ、
「ひっ……陽向…! よく、きいて……ひくっ!///」
「お父さん……ひくっ……じっ事故で……意識不明の重体なっ……なのよ!///」
「もっ、もしかしたら……うぐっ!//////」
結花は涙を流しながら、僕へ状況を説明をしている。
結花の表情から、孝太郎は俗に言う危篤状態なんだろう。
……
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