第二話 錬金術師、冒険者ギルドに行く
「あら~。アルケミナちゃんとケルブちゃんじゃない」
「こんにちは! 」
「これは
「あらいやだ、ケルブちゃん。今日も言葉がうまい事。はい。これ私がつくったクッキー。二人でお分けなさいな」
「「ありがとうございます」」
店にケルブが
途中いつも食事を買いに行っている所のおばさんに声を掛けられ
クッキーが入った小袋を一つ
朝の
「おお! 良い香りだ」
「
「そう言う意図はない。と、言うよりも
「……嫌な人間と組まされる。これはある意味
「何故軽くこっちをみた! 」
「ふっ。特に意味はない。自意識
「お、今日も早いな! アルケミナの
オレ達が少し口論をしながら硬い
声の方を見るとそこには
「ああ、朝早いのはオレの美点だ。そしておはよう」
「おう、おはようさん」
「早いのはそっちもだろ? 」
「確かに。こりゃ一本取られた」
がはは、と大笑いする大男。
食堂の店主だ。
が、軽く
「じゃ、オレ達は用事があるからこれで」
「おう。また怪我した時でもよろしくな! 」
「いや、そもそも怪我するなよ」
「確かに」
軽く手を振り
そして
「いつもの事だがなに男に対して嫌悪感を
「製作者
「ケット・シー? 」
ケルブはシルクハットを少し深くする。
「ケット・シーは女性の守護者。積極的に男性を守ることは無いのだよ」
「だからと言って
「ま、これは性質のような物だ。
軽くクルりと持っている
ならばオレに対してもっと優しくてもいいと思うんだが、と心の中で思いながらも先を急いだ。
★
建物の大きさに見合った巨大な扉には剣と盾が交差した看板がある。
冒険者ギルドだ。
「……
「
軽く立っていると大勢の剣や
こちらを見てくる人がちらほら。
向こうがお辞儀をするので手を振る。
「君も人気だねぇ」
「いやではないが……。この人気の原因に関しては複雑な気分だ」
「割り切り
「オレもそうだが、ケルブが原因だと記憶しているのだが? 」
「さ、行こうか」
不利になるとすぐさま話を打ち切り扉の方へ向かうケルブ。
カツン、カツンと音を鳴らしながら先を行く。
全く本当に人間らしい
冒険者ギルドの中に入るとそこには多くの冒険者がいた。
朝一で依頼から帰ってきた人もいるのだろう。
汗臭い中、軽く見渡し木でできた床を歩く。
するとギロっとこちらを見る視線が。
その方向を見ると茶色いモヒカンに肩パットの集団やつるっぱげの
それに
「「「おはようございやす!
「や、やぁ。おはよう」
全員が頭を下げて
瞬間全員が「またやってる」という視線でこちらを見てきた。
これに慣れれないんだよな。
「「「ケルブの旦那もおはようございやす!!! 」」」
「おはよう。君達も今日もイカしてるスタイルだね」
「「「お
クルりと
ケルブは彼らには少し優しい。
町の人とのこの
そう考えていると一人のモヒカンがこちらに近寄る。
「ささ、こちらへどうぞ」
「席はあけやした」
「
ガバっと手で席を案内されていつもの席へ。
目線で助けを受付に送るがうさ耳受付嬢はこちらに手を振るばかり。
くそっ! 助けてくれてもいいじゃないか。
移動し、着席。
まるで貴族様の親衛隊のような感じで
「本日はどのようなご予定でしょうか」
「お、おう。今日は護衛依頼を頼もうかと来た」
それを聞き男達が一気に目を輝かせた。
「指名依頼でしょうか? 」
「そこまで考えてないんだが」
「それはいけねぇ!!! 」
「ここは安心安全の指名依頼でなくては! 」
「
「故に、安全に、確実に依頼をこなせる人材を指名してもらわないと! 」
と、彼らは
オレのポーションを
だが見た目を抜きにすれば彼らはBランク冒険者パーティーの集団。見た目を抜きにすれば高位冒険者で実力も
確かに彼らに指名依頼を出せば、その言葉の通り「安心安全」なのだろう。
悩む……。
軽く、期待に
そして机に
その昔死にかけの彼らにポーションを与えて助けた結果こうなっているのだが、本当にどうしてこうなった。
どう切り抜けようかと考えているとどこからか声が聞こえてきた。
「そうだ。こういうのはどうだ? 」
下を向いたまま声の方を見る。
何か彼らが相談をしている。
悪だくみじゃないと思うんだが。
話し合いが終わったのかこちらを見てリーダーの男が咳払いをして口を開いた。
「
「な、なんだ? 」
「最近近くの町からやってきた冒険者が俺達のグループに入ったもんで。その者達と組んでくれませんかね? 」
「ま、まぁ最悪こっちにはケルブがいるから大丈夫だとは思うけど……。でもどうしたんだ? 」
「やつらこの町について知らない様子。
「「「おねがいしやす!!! 」」」
ガバっと頭を下げる
なんだかんだ言って面倒見のいい奴らなんだよな、こいつら。
ま、だからほっておけないのもあるが。
「よし分かった。そいつらと会おう! 」
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