第三話 道を照らす者 《ガイド》
「今日も大変ですね」
「そう思うのなら助けてくれ」
「冒険者間のいざこざはギルド不介入なので」
「オレは冒険者じゃないのだが? 」
「さ、出来上がりましたよ」
「彼らは……。いました。呼んでくるので少々お待ちくださいね」
席を立ち受付台から離れるミミ。
白いスーツに
「いやはや冒険者ギルドに来る度にこれだと大変だ」
「正確に言うならば町でもだ、ケルブ」
オレを見上げてそう言うケルブ。
彼に目をやりながら町中で会った時のことを思い出す。
恥ずかしいことこの上ない。
それに周りの町人達が理解し、慣れてくれたから良いものの本当に彼らは疲れる。
ま、悪い奴らではないのだから
「見た目だけで判断される社会があるのならば、アルケミナはさぞ立派な裏社会のボスと言ったところか」
「どちらかというと山賊か盗賊だな」
遠くで依頼を選ぶ
冒険者が皆こうなのではない。
時には貴族が
しかし……なんだろう。彼らを見ていると「冒険者ギルド =
ダメだな。
そう思っているとミミのうさ耳がこちらに方向
彼女は軽く笑顔を作るとスタスタスタとこちらへ歩いて来た。
その後ろには四人の集団がいる。
オレの前まで来ると片手で彼らをさして紹介した。
「こちらがご指名の方々になります」
★
「
「……サブ・リーダーで魔法使いのミスナ」
「ちょ、ミスナちゃん。失礼だよ。あ、私は神官のイリアと言います。よろしくお願いします」
「ミスナの
狼獣人のウルガスがリーダーで、魔法使いの一尾の狐獣人のミスナがサブ・リーダー、白い
中々にバランスが取れたメンバーじゃないか。
よし。ここはオレが。
「
「ちょ、オレの
「マ、
シルクハットを取りお辞儀をするケルブに驚く
ほら。オレの紹介が……。
「え?! でも
「……
イリアの問いにミスナが答える。
ウルガスやガロも驚いている様子で、ウルガスが口をパクパクさせながら言った。
「おいおい……。まじか。
「……もふもふしてそう。ウルガスよりも」
「なっ! そ、そんなことは無い! 」
何かウルガスとミスナの関係が見えてきた気がするが、それよりもオレの自己紹介をさせてくれ。
「「「申し訳ありません」」」
「いやいや構わない。順番を考えなかったケルブにも問題はある」
と、軽くケルブを
しれっとこういう時だけ知らん顔している。
まぁ顔色は変わらないが。
「頭をあげな」
ケルブから目を移すとおずおずといった感じで四人が頭を上げていた。
そんな彼らに「コホン」と軽く咳払いをして
「オレが今回の依頼主でアルケミナ魔法薬店店主のアルケミナだ。よろしくな! 」
「「「はい!
「ぐはっ! 」
な、何故だ。
何故初対面の相手に
あぁ、あいつらの仕込みか。
くそっ! 初対面の相手に言われるとはっ!
ウルガスを見上げて軽く震えながら口を開く。
「そ、その
「え、でも
「ウルガス」
「え? なに肩を
「君ならわかるだろ? 」
「な、何がですか」
「そうだな。例えば初対面の君にオレが『白銀の
「ぐはっ! 」
オレの手からすり抜けて
これで苦しみが少しでもわかってくれただろうか。
深くダメージを負ったようだ。
立ち上がらない。
仲間も仲間で彼を立ち上がらせようとしない。
下手に何か言うと自分達にも二つ名で呼ばれる危険性を感知したようだ。
どこかウルガスを見下ろすミスナの目線が冷ややかだ。
オレの知ったところではないが。
「し、しかし
「ん? あぁ。そうだな。彼は
なるほど、と
どちらか一方でも珍しいのだから双方
盗まれる危険性もあるが、盗まれるよりも先に盗もうとした方が痛い目を見る。
彼の説明を終える頃にはウルガスも復活していた。
「お、お見苦しいところを」
「いや、構わない」
「で、今回は護衛とのことだ……でしたがどこへ? 」
「おや、依頼書を読んでないのかい? 」
「紹介、ということもありすぐに飛びついたので」
と、気まずいのか
それはダメだろ、と思いつつも他のメンバーを見る。
すると軽く下を向いた。どうやら全員知らないようだ。
やっぱりダメだろ。
仕方ない、か。
「今回はオレがハイ・スタミナ・ポーションの原料を採りに行くからその護衛だ」
「? 冒険者ギルドに採取依頼しないので? 」
「前に依頼したら
そう言うと
これはやらかした経験があるな。
まぁいい。今回彼らは護衛だ。
「だからオレが採取している時、モンスターや盗賊に襲われそうになったら守ってくれ」
「「「分かりました」」」
「おう。よし、行こう! 」
こうして俺達は冒険者ギルドを出た。
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