第593話 史上最大のアレ
「はい、はーい!アリエス辺境伯領でバター作る予定だから、スコーピオン公爵領で『ジャガバター』売ってくれませんか?」
「おいアリエス、ジャガバターとは何だ?」
「そういえばスコーピオン公爵はこっちに来たばかりでしたね。お藤さんの作る料理もまだ食べてないですか?」
「貴様、俺の知らない事ばかり言いおって!」
「まぁまぁまぁまぁ、スコーピオン公爵もステフ殿も、芋畑もまだ出来てないのですから急がなくても良いでしょう。
なぁシン、スコーピオン公爵に無線機は渡さんのか?領地に戻られた後で情報交換をするには必須なのだが」
「えーーっと、アストレア様が許可するなら構わないですけど」
「なら問題無い、スコーピオン公爵は信頼出来る御仁だ。」
「おいレヴァティ!また俺の知らない話題ではないか、詳しく説明致せ!」
「勿論です。ただ、ここには我々の常識から外れた事が沢山ありますので、、、ペトルーシュカ様、一緒に説明をお願い致します。」
「はぁ、しょうがないわね。お父様、向こうで話しましょう。」
「うむ」
はぁ、疲れる
スコーピオン公爵は悪い人では無いし、公爵という立場を使って命令をするつもりも無いんだろうけど、完全に立場が上の人だから周りが気を使って大変だよ
だがしかし
ペトラ様に色々説明されてるスコーピオン公爵は、めちゃめちゃ嬉しそうだけどな!
公爵ってなんやかんやで超忙しそうだし、領地に居たら家族とゆっくり話をする時間も無さそうだよな。
ペトラ様が結婚したら会う機会も減るだろうから、今のうちに父娘の会話を楽しんで欲しい。
「ねぇシン君」
「はいはい、フレデリカさん次は何ですか?」
「芋はどの種類も高値で沢山売れるんだけど、山芋とかネバネバする芋の売れ行きがイマイチなのよね。その分シン君に贈ってるから無駄にはなっていないんだけど」
「なるほど、とろろ蕎麦や麦とろご飯を食べるのって我が家くらいでしょうし、味付けに使う醤油もそこまで普及してないですからねぇ。お好み焼きでも作りましょうか?」
「おこのみやき?」
「ええ、すりおろした山芋を使ってふわふわ食感にした食べ物です。
残念ながら食べても山芋の味は感じられないと思いますけど、お好み焼きに山芋は重要なんです!」
「へぇ~、脇役みたいな感じなのね。それなら是非食べてみたいわ!」
「じゃあお昼ご飯にでも、、、」
クイッ、クイッ
ん?
誰かが俺のズボンを引っ張っているけど誰が、、、ってスミレか
「スミレどうしたん?」
「お母さんがね、今日のお昼ご飯は手巻き寿司パーティーにするって言ってたよ」
「もしかしてスコーピオン公爵とフレデリカさんの歓迎会?」
「うん♪」
「じゃあお好み焼きは晩御飯やな。スミレは手巻き寿司の具は何が好きなん?」
「えっとねぇ、ツナマヨとエビとアボカドが入ってるのが好き♪」
へぇ~、めっちゃ美味しそうやけど、それはカリフォルニアロールなのでは?
カリフォルニアロールは食べた事無いから知らんけど
「ねぇねぇスミレちゃん、てまきずしってなぁ~に?」
「好きな具を巻いて食べるお寿司だよ」
「おすし?」
「うん、好きな具が乗ってるご飯だよ」
「ごはん?」
あらら
スミレに説明を求めたフレデリカさんだけど、お寿司もご飯の意味も理解出来なくて困っている
「フレデリカさん、とりあえずお昼までのお楽しみって事で」
「ふふっ、全く分からなかったけれど、スミレちゃんがこんなに嬉しそうなんだもの、美味しい料理に決まってるわ!」
「そしたら俺は酢飯の準備でも、、、ってちがーう!呑気にご飯作ってる場合とちゃうねん、王都のクーデターほったらかして何をしてんねん!」
フレデリカさんと貴族の皆さんを自由にさせたせいで、また本編が全く進んでない!
さっさと王都に転移してクーデターを鎮圧しないと、お昼ご飯の手巻き寿司が食べられないじゃないか!
「貴族の皆さん集合!お昼ご飯までにクーデターを鎮圧して戻って来るんですから、さっさと集合!」
「ナガクラ君!お昼ご飯は手巻き寿司パーティーって聞いたけど、デザートは何かな?」
「お昼までに戻って来られたらステフ様の好きなケーキを用意しましょう」
「やったぁー!クーデターなんてさっさと吹っ飛ばして戻って来よう!」
「おい婿殿、クーデターを鎮圧するのは構わんが、まだ詳しいプランを聞いておらんぞ」
「御安心下さいスコーピオン公爵、こういう時のプランは万全なので。」
「という事は旦那様、アレですね?」
「おっ、ダンナのアレは久しぶりだなぁ」
「ふっふっふっ、ニィナにケイト、今回は史上最大のアレを発動する事になるだろうな」
「おおっ?!ナガクラ様がやる気に満ち溢れておられる!」
フレデリカさんにスコーピオン公爵、その他最近我が家に来た人達は意味が分からずポカーンとしちゃってるけど
メリル、ケイト、ニィナ、カスミ、スミレは理解してくれてるみたいで嬉しいねぇ♪
「それでは皆様、御唱和下さい、せーのっ」
「「「「「プランB」」」」」
「クーデター鎮圧作戦開始だぁー!」
つづく。
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