第594話 準備
「皆様到着しましたよぉ~」
「ヨウコさんありがとう、、、っていうかここは何処なのぉーーー?!」
王都で起きたクーデターを鎮圧する為に、ヨウコさんの転移魔法で王都に来たはずなのだが、俺達が今居る場所は王都では無い!
だって1㎞くらい向こうに立派な王城が見えるんだもの
マジでココは何処やねん!
「ヨウコさん、連れて来て貰って申し訳無いんだけど、もう1回転移して王都に行ってくれる?」
「王都にですか?しかし我々の目的はクーデターの鎮圧なので、王都に行くとまた戻って来ないといけませんけど」
ん?
何故かヨウコさんと会話が噛み合ってないんだが
「そういえばシンはまだ見た事が無かったな。あそこに見えるのがサワタリの分家が拠点にしている屋敷だ。
カスミさんから奴等が何処かに立て込もっていると聞いたから、既に王都から逃げて屋敷に立て込もったのだろう。
その証拠に王都の騎士団が取り囲んでいる」
あぁ~、確かに
俺達が今居るのは小高い丘の頂上だから、レヴァティ様の指差した丘の麓を見ると、立派な屋敷と、屋敷を取り囲んでいる武装した集団がよく見える。
しかもあの屋敷、幅が10メートルはある水堀と、高さ5メートルくらいある金属製の壁で囲んだ上に、ご丁寧に有刺鉄線を張り巡らせている。
あの様子だと水堀の中にも何か仕掛けをしてそうだから、乗り込むなら正面突破が1番安全か?
まっ、俺達にはヨウコさんの転移魔法があるから関係無いけどな
「よしっ、バレンタイン!今こそ貴様の力を示す時だ。遠慮は要らん、壁を吹き飛ばして突破口を作れ!」
「ええっ?!ちょちょちょっと待って下さい、いきなり言われても困りますって!シン殿助けてぇー(泣)」
あらら
たまたま『近くに居たから』、という理由でスコーピオン公爵に無理矢理連れて来られたシェヘラザード・バレンタイン
通称シェラさんが助けを求めている。
ちなみに転移で一緒に来たのは以下のメンバーだ。
スコーピオン公爵
レヴァティ様
ステフ様
フレデリカさん
ニィナ
ヨウコさん
シェラさん
ついでにゴーレムから
ゴレさん・ルファ・べーやん・ルタ姐の4体も参加している。
サワタリ一族の戦力がどんなもんかは知らんけど、王国十二家の当主が3人も居るからそれだけで既に過剰戦力だろう。
しかも今、サワタリ一族は洗脳魔法にかかっていて交渉は不可能であり、組織的な抵抗も出来るとは思えん。
だからこそ、人質救出の為に一刻の猶予も無い!
創造神様が言うには、洗脳魔法はスキルの「店」で売ってる物で殴れば解除されるらしいので、ゴレさん達にはスキルの「店」で買ったピコピコハンマーを装備させて準備万端だ。
「シン殿、もちょもちょバーを今直ぐ私に食べさせて下さい!」
おーい、シェラさん
ピーナッツバターで固めた高カロリーエナジーバー(1本50グラム、400kcal)は『もちょもちょバー』などと言う変な名前では無い!
食感がヌチッとしてるから、人によっては『もちょもちょ』と感じるのかもしれないが
「シェラさんには突破口を開けて貰うんで好きなだけ食べて下さい」
「さすがシン殿は分かってるぅー♪いただきまーす。もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「総員傾注!作戦を説明する。」
おおっ!
スコーピオン公爵がクーデター鎮圧の指揮を執るらしい。
「先ず、バレンタインが突破口を作ったらすかさずヨウコ殿の転移魔法で移動、ゴーレム部隊を先頭にして攻撃部隊のアリエス・ニィナ殿・バレンタインが突入、そのまま1階を制圧する!
ヨウコ殿と婿殿はサポートに専念して欲しい。
レヴァティもサポート役だが、その前に周囲に被害が出ないように水堀ごと水魔法で覆ってくれ」
「了解しました。ですが、本音は騎士団に邪魔をさせない為なのでしょう?」
「ふんっ、王都の騎士団様を煩わせるような失礼な行為は王国貴族としては回避せねばなるまい。
戦場では作戦の成功が最優先だ。それ以外の意味など無い!」
おおっ!
さすが未来の義父殿、頼もし過ぎるぜ!
スコーピオン公爵ならたとえ王族が相手でも、全力でぶん殴ってどうにかしてくれそうな頼もしさがある!
「はい、はーい!アレサンドロ君、私はどうしたら良いの?」
「フレデリカは好きに致せ。エルフの性格上、誰かと連携するのは苦手であろう?」
「さっすがアレサンドロ君、わかってるぅー♪」
へぇー
エルフって連携が苦手なのか
言われてみればミリーさんもウェンディさんも個人主義っぽいか
「もぐもぐもぐもぐ、、、んっぐ!はぁ、エネルギーチャージ完了!
スコーピオン公爵、今こそ私の真価を御見せ致しますよぉー!」
高カロリーエナジーバー20本を完食したシェラさんが、腕をぐるんぐるん回してヤル気に満ち溢れているんだけど
ふと思う
人質の救出も作戦に含まれているんだよな?
俺の周囲に居るメンバーを見ると、とにかく屋敷をぶっ壊して更地にしようとしているようにしか見えないんだが(汗)
俺は神に祈る
人質が自力で脱出してくれますようにと、、、
つづく。
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