第587話 集う仲間達

モグモグモグモグ、ズズッ、、はぁ~


夜食のカヌレとコーヒーでほっこりするぅ~♪



王都でジャンヌ・サワタリがクーデターを起こしたけど詳細が分からない為、今は続報が来るのを待つしか出来ない。


という訳で夜食にカヌレと眠気覚ましのコーヒーでティータイムを堪能中だ。



「ねぇシンさん、どうやってクーデターを鎮圧するの?

創造神様にお願いするのは最終手段でしょうし、やっぱりヨウコさんかシエーネさんにお願いするのが1番かしら」


「あのですねアストレア様、どうして俺がクーデターを鎮圧するんですか?」


「そりゃあ、シンさんの力と人脈を考えればクーデターなんてあっという間に鎮圧出来るんだもの」


「出来るんだもの、じゃないですよ!こういうのは貴族の仕事でしょう?ただの商人に無茶を言わないで頂きたい!」


「シンさんを『ただの商人』とする方が無茶なんだけど、それはいいわ。

わざわざクーデターを起こすんだから、王族や貴族が人質に取られている可能性もあるんだけど」


「知り合いが人質に取られてるなら何とかしますけど、そうじゃない赤の他人がどうなろうと俺の知った事じゃありませんよ。

この国にも荒事解決の専門家は居るでしょ?その人達にお任せしますよ。」


「シンさんって意外とドライな性格だったのね。でも万が一にもクーデターが成功して国のトップがすげ替わったら、今までのようにキャラバンシティを放っておいてくれないわよ?

軍を送り込んで来て街を制圧、キャラバンシティ領主代行の私は解任。池田屋商会の商品も強制的に献上させられるでしょうね」


「はいはい、分かりましたよ。可能な範囲でどうにかします。とは言え、クーデターなんて実際に見た事は無いんで、俺に出来るのはサポートくらいですよ?」


「まぁその辺はお兄様からの続報が来てから決めましょう。」



はぁ~


お金払ったらクーデター止めてくんないかなぁ?



「あっ、、、来る」


「えっ?何がっ・・・」



いつもは途中で折れ曲がって垂れているカスミのうさぎ耳が、突然ピンッと伸びてピコピコ動き出した。


カスミの邪魔をしないようにリビングに居る全員が音を出さないように静かに見守っていて、俺もカスミに話しかけようとして急いで口を閉じる。


カスミのうさぎ耳がピンと伸びて動いているのは珍しい。逆に言うと危険な何かが近付いて来る時しか動いてる所を見た事が無い。


キャラバンシティ内に危険な人物や魔物が居るならヨウコさんが気付いてるはず。


と言う事は、キャラバンシティの外から何かが近付いて来てるって事になるんだけど、、、



「、、、ステフ様です!」



ぐはぁっ!


もの凄く不安になったのに、やって来るのは俺の親友かよ!


リビングから出ると、アリエス辺境伯領方面が見える窓に行き、急いで双眼鏡を覗く


おそらくステフ様はクーデターの情報を得て直ぐに出発してこっちに来たと思われる。自転車に乗って来てるなら、搭載してるLEDライトの光が街道の何処かに、、、見えた!


LEDライトで逆光になってステフ様の顔は見えないけど、猛烈なスピードで移動する光はステフ様しかいねぇーよ!



はぁ


見えないけどステフ様はきっと、はちきれんばかりの笑顔なんだろうなぁ


そのまま双眼鏡でステフ様の自転車を追って行く。もうすぐ街の門に到着するけど止まる気配が無い。


街の門は日暮れと同時に閉じられてしまうから、門兵が気付いて今から門を開けても間に合わない


このままのスピードではいくらステフ様でも止まれず門に激突する、、、跳んだ?!


おいおい、ステフ様は自転車ごとジャンプしてそのまま10メートルくらいある石壁を飛び越えちゃったよ


しかも民家の屋根に着地して、屋根の上を走行しながら我が家に向かって来て、、、また跳んだ?!


我が家を囲む塀を飛び越えて庭に着地


ズザザザザァーーーーー!!



「おーい、ナガクラくーん、お邪魔しまーす♪」



まったく、相変わらずあの脳筋辺境伯は無邪気な笑顔でとんでもない事をするんだから、困ったもんだよ。



「誰かステフ様を迎えに行ってリビングまで案内して来て」


「私が行って参ります。」


「アルテミスさんありがとうね。

ヨウコさんには街道の何処かに居るであろう、ステフ様の護衛のエミールさんとリィファさんを転移で連れて来て貰える?」


「お任せあれ!」



ヨウコさんはいつも理解が早くてとても助かる。


しかしステフ様も護衛を置きざりにしてまで急いで我が家に来なくてもいいだろ。


我が家に来た方が詳しい情報が入るから急いで来る気持ちは分かるけども、余計な手間はかけさせないで欲しい。




ピー、ピー、ピー


むむっ!


今度は何?!



「はーい、旦那様どうしたの?」


「、、、その声はアストレアか!キャラバンシティの近くまで来たから、シンに迎えに来て欲しい」


「かしこまりました」



ほっ


レヴァティ様から無線連絡が入っただけか


だがしかし


俺は知っている


ここで油断は絶対にしてはならないという事をな!


ステフ様にレヴァティ様、王国十二家の2人が事前連絡も無しに我が家に集まったんだ


2度ある事は3人目の登場も絶対あるに決まってるぅー!






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る