終章

第586話 確認

「ウェンディさん、もう少し詳しい状況を教えて下さい」


「すいません今はこれ以上の事は分かりません。

王都に居るライブラ公爵から通信の魔道具でピスケス伯爵に連絡があって、そこから無線機で我が家に連絡が入りましたから、続報はあると思います。」



あぁ~


ライブラ公爵ってアストレア様のお兄さんだったはず。


続報があるとは言っても通信の魔道具は3回くらい使うと魔力切れで使えなくなるらしいから、何処まで詳細な情報が来るかは不明だ。


こんな事になるなら早くライブラ公爵に会って無線機を渡しておくんだったなぁ



「ウェンディさんありがとうございました。新しい情報が入り次第教えて下さい。」


「はい!旦那様の為に頑張ります!」



ウェンディさんとはまだ結婚してないんだけどなぁ


それは置いといて、現状で1番ジャンヌに詳しそうなラウール君に意見を聞きますか。


未だに部屋の隅で土下座の姿勢のまま微動だにしていないけどな。



「ラウール君の意見も聞きたいからソファに座ってくれ」


「はっ!」


「聞いてたと思うけど王都でジャンヌ・サワタリがクーデターを起こした。何か知ってる事はあるか?」


「私もレサト殿もジャンヌが何かとんでもない事をするんじゃないかと危惧していた矢先の出来事でした。」


「そう、、、レサト殿は何か気付いた事とか無いですか?」


「と、言われましても、私が会った時のジャンヌは既に言動がまともでは無かった、というくらいですね。

おっと忘れるところでした、ラウール殿がかけられた洗脳魔法が完全に解けているかどうか、シン殿なら分かるかもしれないと思ったのも、ラウール殿を無理矢理連れて来た理由の1つです。」


「では確かめる前に、2人ともお茶を飲んで下さい。」


「そうですねせっかくのお茶ですし、飲んで少し冷静にならねば、ラウール殿頂きましょう。」


「ゴクッ、ゴクッ」「ズズッ」



創造神様が言うには、スキルの「店」で売っている物に触れさえすれば洗脳魔法は解除されるって事だから、スキルの「店」で買ったお茶を飲んでも効果はあるはずだ。


2人ともお茶を飲んでも変化は無し。ヨウコさんとシエーネさんも相変わらず反応無し



「2人が飲んだお茶、実はかけられた魔法を無効化する効果があるんですが、何も反応が無かったので洗脳魔法は解けてますね。」


「ほぉほぉ、そのようなお茶があるとは、さすがシン殿ですな!」


シュバッ!


ん?


ラウール君が右手を上げて俺を見ている



「えっと、意見があるなら自由に発言してくれて良いから」


「ありがとうございます。ジャンヌは『ちーと』という物に執着しているようでしたから、今回の事も『ちーと』が関係しているのではないでしょうか?

かけられた魔法を無効化するようなお茶を持っているナガクラ様なら、『ちーと』についても何か知っているのでは?」


「チートなんて物理法則とか魔法理論を無視したデタラメな力の事は知らない方がいい。」


「やはりシン殿は知っていたのですね」


「まぁジャンヌがどのような能力のチートを欲しがっているのかまでは分かりませんけどね。

どのような力であっても、人が使えば自分が神になったと勘違い出来る程度には、ぶっ飛んだ能力でしょう。」


「そこまでの能力ならジャンヌが『ちーと』を手に入れると不味いのでは?」


「いえ、レサト殿と会った時点でチートを持っていないのなら、少なくとも神がジャンヌにチートを与える事はありませんよ。」


「『神』が直接関わって来るのなら、私がこれ以上心配する必要は無そうですね。」



万が一にもジャンヌにチート能力が発現したら、その時は全力で創造神様にお願いしてどうにかして貰うけどな!



「あっ、あの、レサト殿もナガクラ様も、私には話がさっぱり見えないのですけど」



ラウール君が話に付いて来れなくて困惑してるけど、丁寧に説明してやる気は最初から無い!



「とりあえずアストレア様と今後の事を相談する為にリビングに行きましょう。ラウール君はこの部屋に残ってくれ。

我が家のみんなに君を会わせる訳には行かないからな」


「はい、当然の事と思います。」


「悪いけどシエーネさんは残って監視しててくれる?」


「オッケー。報酬はフライドチキンで良いよぉ~♪」



まったくちゃっかりしてる神獣だな。



◇ ◇ ◇



という事でヨウコさんとレサト殿と一緒に我が家のリビングにやって来た。


全員集まってるのかと思ったけどリビングに居たのは


アストレア様、ニィナ、カスミ、アルテミスさん、ミリーさん、ウェンディさん、子フェニックスのフレム



「なぁニィナ、メリルとか何人か姿が見えないけど」


「お嬢様や他の方達はケイト殿と同室で寝ているので声をかけていません。ラウールとケイト殿を会わせる訳には行きませんから」


「なるほど、まぁ今知ったところで何も出来ないし、朝食の時に教えれば良いか。何か新情報は?」


「いえ、今のところありません。王都に居るライブラ公爵からピスケス伯爵経由か、商業ギルド経由のどちらかでの連絡待ちです。」


「了解」



今は待つしかないか


はぁ~、長い夜になりそうだなぁ(疲)






つづく。

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