第565話 観光も兼ねてます。

すぃーーーっとっと、無事着地♪



上空でドラゴンのシエーネさんと別れた後は、いつものように人の居ない森の中の開けた場所に降りて来た。


アストレア様からポリマに着いたら連絡して欲しいと事前に言われていたので、収納からハンディタイプの無線機を取り出して、レヴァティ様に渡した無線機に呼び出しをかける。



「はーい、シンさんね?聞こえるー?」



無線機からアストレア様の声が聞こえると言う事は、無線機の前でずっと待ってたんだろうな。



「はい、シンです。ちゃんと聞こえてますよおかあさん。ポリマの近くまで来たけど、どうやって護衛対象と会えばいいの?」


「今日と明日の2日間、露店で保存食か何かを売ってれば、相手の方がシンさんを見つけてくれるから心配しないで大丈夫よ」



お互いに顔を知らないのに、それは本当に大丈夫なのか?


まぁ相手の人が鑑定のスキル持ちなら、露店営業をしている商人だけを鑑定して行けば良いだけか。



「今からポリマに行くけど、王都の貴族がポリマに立ち寄るとか無いよね?」


「ポリマに立ち寄るような貴族は殴って黙らせて大丈夫よ♪」



待て待て待てーい!


目と鼻の先に王都があるのに、わざわざ宿場町に来るような貴族は下級貴族だけなのかもしれんけど


もっと平和的な解決方法を教えてよぉー(泣)


だがしかし


今の俺にはレヴァティ様から貰ったピスケス家の紋が入ったナイフがある、馬鹿な貴族にはこのナイフを見せて、それで駄目なら殴ろう!


おとうさん、役立つアイテムをありがとう♪



「そしたら、早く帰れるように依頼頑張って来まーす。」


「はーい、アルテミスと一緒に待ってるわねぇ~♪」


「ちょっとお母さん、私にも話させてよ!シンさーん、ちゃんと待ってますからねーーー、ガコッガタンッ」


プツンッ・・・


ん?


足を引っ掛けて無線機の電源コードが抜けたか?


無線機はスキルの「店」に売ってた物だから、机から落としたくらいでは壊れないだろうし、配線も電源とアンテナの2本だけだから説明書を見ればハインツさんが直してくれるだろう。



「それじゃあ、ポリマ向かってれっつらごー♪」


「おー♪」



森の中からヨウコさんと一緒に歩いて街道まで出ると、緩やかな登り坂になっていて3~4㎞ほど先の丘の頂上に立派な石造りの城壁が見えた。


キャラバンシティの石壁とはあきらかに強度が違うであろう事がここからでも分かるし、城壁の向こうに巨大な城も見える。


あそこがバルゴ王国の王都ベルチカだ。


ただ、城壁の外からでもあんなにハッキリクッキリ王城が見えちゃってると、ステフ様が使うような広域殲滅魔法で狙い撃ちされると思うんだけどなぁ


まぁ王城は石造りだから燃えないし、某アニメの魔法少女が放つ爆裂魔法でも無い限りは、それほど心配は無いのかもしれない。


ただし、俺ならいつ魔法が撃ち込まれるかも分からない王城なんて、恐くて絶対に住まないけどな。



「ナガクラ様、ポリマに着きましたよ」



おっと


王城を見て色々考えていたらいつの間にかポリマの入り口に着いていたらしい。


宿場町と言うだけあって、行商人や冒険者っぽい人達が門の前に沢山居てとても賑わっている。


ポリマの町は板塀でぐるっと囲われていて入り口はなんと


江戸時代の武家屋敷の門のように見えなくもない!


瓦は無いけど、しっかりした作りの木製の門扉が閉じられていて、脇には潜り戸のような小さな扉が取り付けてある。


人だけなら小さい扉で出入りして、馬車は大きな門を開けて通るルールっぽい


ここまで日本を感じさせる見た目だと、日本人の転生者か転移者が設計に携わった門なのかもしれない。


いつかはこっちの世界に来た日本人の足跡を辿る旅をするのも良いな。


せっかくだし記念に写真を撮っておこう。


ヨウコさんの背後に隠れるようにしてデジタルカメラを構えて、、、


もしかしたら今の俺の姿は盗撮しようとしてる怪しい人に見えるかもだけど、デジタルカメラを他人に見られると面倒だから仕方無い。


改めてカメラを構えて、カシャカシャカシャっと、画面を確認するとばっちり撮れてる♪


満足したからさっさとキャラバンシティに帰りたいんだけど、大人というのは嫌な仕事もしなくてはいけない悲しい生き物なんです。


いざ!






つづく。

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