第564話 ポリマに向かいまーす!

「では、改めて。シンさん、行ってらっしゃいませ。ちゅっ♪」



おっ?!


うぉーーーーー!!


アルテミスさんが俺の唇を奪ってくれたから、スゲェー面倒な護衛任務も、やる気出て、、、来ねぇーわ!


むしろここに留まる事に並々ならぬやる気が出て来たわ!



「アルテミスさん、今すぐ新居を建てるんでイチャイチャして過ごしましょう!」


「あっ、はい(照)」


「ナッ、ナガクラ様、そろそろ出発したいんですけど(汗)

えーーっと、あっ!交換条件として、今ならスミレさんが魔法を使えるように全力で頑張らせて頂きますけれども」



むむっ?!


スミレが魔法を使えるように、、、だと?

聞き捨てならん!


これは是非ともお願いしなくては。


そもそも俺がこうして自由に動けるのも、ヨウコさんにシエーネさんにリリーの神獣達に、我が家のみんなを守って貰ってるからだ。


俺と神獣達のウィンウィンな関係の為に、神獣からのお願いは無下には出来ん!



「全く行きたく無いですけど、行って来ます。ヨウコさんお願いしますね」


「お任せあれ!いきまーす。」



ブワッ!


いつものようにヨウコさんの風魔法を受けて広がったパラシュートは、そのまま一気に上昇して行く。


お見送りしてくれている皆さんがあっという間に小さくなって行く中で、アストレア様が心の底から安堵した表情をしているのが見えた。


そこまで重要な事ならコッソリ詳細を教えてくれても良いと思う。


文句は帰ってからたっぷり言うとして、パラシュートは勢いを増して上昇していて、腕に着けた高度計は3000メートルを表示している。


こんなに一気に上昇すると高山病が恐いけど、、、大丈夫そうかな?まぁ高山病になっても回復魔法があるから心配はしていない。



(おーい、ナガクラくーん、聞こえるー?)


おっと


頭に直接聞こえるこの声はシエーネさんからの念話だ。


(聞こえてますよー。シエーネさんは何処に居るんですか?)


(ココだよ、ココ!)


えーっと、、、居た!


前方の大きな雲の中から、全長10メートルくらいのドラゴン姿になったシエーネさんがひょっこり顔を出している。


そう!


今回は上空でシエーネさんに待機して貰って、万が一の時は上空からドラゴンブレスを放って援護して貰う作戦だ。


完全に過剰戦力だけど、ここまでしないとニィナが納得してくれなかったのだから俺にはどうにも出来ない。


しかも


宿場町ポリマは王都に近いから、そこで賊に襲われた場合、流れドラゴンブレスが王城に直撃する可能性も無くは無い。


一応、無関係な『人』に被害は出ないようにお願い(努力義務)はしているけれど、建物だけが消滅するなら許容範囲内だろう。


俺が出来るのは、人への被害が出ないように神に祈るのみだ!



「シエーネさんにも来て貰う事になってすいませんね」


「気にしなくていいよ。今回はこっちにも関係のある事だから、お互いの今後の為にも協力は惜しまないし、遠慮無く頼ってよね」


「ええ、その時はよろしくお願いします。俺も出来る事はしますけど、そっちは色々と難しい立場なのは理解してます。なので、今後も表情とか雰囲気を駆使して、、、という感じでお互いに頑張りましょう!」


「まっ、眩しい!ナガクラくんが創造神様に勝るとも劣らぬほどに輝いて見える♪」



神獣って実は凄くブラックな職場じゃないだろうな?


仮にブラックだったとしても俺に出来るのは美味しい食べ物を提供する事だけだ。



「今回の依頼が完了したら、フライドチキン祭りでもしますか?」


「祭り?フライドチキンで神輿でも作るの?」


「いえいえ、ただの食べ放題ってだけです。」


「たっ、たたた食べ放題?!なんて贅沢な、、、ナガクラくん、質問があります!」



わぁお?!


急にシエーネさんからの圧が凄いんだが(汗)



「なんでしょうか?」


「ナゲットは食べ放題に含まれますか?」


「まぁお手頃価格なんでナゲットもポテトもバーガーも食べ放題にしますけど、シエーネさんだけで100㎏食べるとかは止めて下さいよ」


「やったぁー♪量は心配しないでよ。人の姿になれば2人分くらいで充分だからさ」



ほっ


さすがにドラゴン姿で食べられると賄いきれんからな。



「ナガクラ様、そろそろポリマですから人の居ない所に降りたいんですけど」


「はーい、シエーネさんは引き続き上空で待機だけど疲れない?」


「10日くらい飛び続けても余裕とはいえ、とまり木みたいなのは欲しいなぁ」


「雲の上にとまり木はちょっと、、、いや、待てよ!浮島を呼び寄せて休憩してたら良いんじゃない?」


「それ良いね♪とりあえず王都の上空に浮かべておこうかな」



王都の上空に浮島がずっとあると騒ぎになりそうな気もするけど、俺の知ったこっちゃ無い!



「ちなみにこの近くに危ない奴って居ますか?」


「この近くで危ないって言える反応は城に2つあるけど、コニーとフラニーでも勝てるくらいの強さだから問題は無いよ」



待て待て!


普段のコニーとフラニーはパン作りにしか魔法を使ってないから忘れがちだけど、魔法で木造の建物を壊すくらいは余裕で出来る威力がある。


仮にコニーとフラニーと互角の実力の奴が襲って来たら、命の危機なんだが(汗)


俺にはいつの間にか創造神様の加護的な何かが付いてるらしいから、簡単には怪我も病気もしないんだろうけど


今回はシエーネさんとヨウコさんの気合いが凄いから信じてますよ!






つづく。

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