第563話 ポリマに行こう、、やっぱ、行かない?
朝から『うな茶漬け』を食べて元気いっぱいになった所で、アストレア様から依頼された『とある御方の護衛』に向かう。
本日の目的地は王都の手前にある『ポリマ』という名の宿場町で、そこに護衛対象のとある御方がやって来るから、合流してキャラバンシティまで護衛して来るという依頼だ。
めちゃくちゃ訳ありで面倒な依頼ではあるけれど、どうやら創造神様や神獣も絡んでる案件っぽいので、俺に許否する勇気は無い!
今回は面倒臭過ぎる案件だから、念の為にニィナも留守番して貰っている。
はっきり言って、勇者の試練をクリアするより、ニィナを説得する方が100倍難易度が高かったけどな!
最終的には、ヨウコさんとシエーネさんが責任を持って全力で俺を守るって事で納得してくれたから良いけども、ニィナって既に神獣より強いんじゃね?
強い奥さんは大好きだから、何の問題も無いけどな!
「という事で、おかあさん、おとうさん、アルテミスさん、そろそろ出発しますね」
「あの、シンさん。万が一の時は全力で逃げて下さいね」
「勿論です。もしかしたら王都が消えて無くなるかもしれませんが、俺が責任を持って再建しますから心配無用です。
そして、絶対に無事に帰って来て、アルテミスさんと結婚します!」
「はい♪」
「あっ、あのね、シンさん、私が依頼した事とはいえ、王都は消さないで欲しいんだけどなぁ(汗)」
「それを言うんだったらもう少し情報を下さいよぉ~」
「ごめんなさい、無理です(汗)」
アストレア様がここまで頑なに秘密にするって事は護衛対象は、、、王族か、王族に匹敵するくらいの重要人物しか居ない。
まっ、最終手段は護衛対象と一緒にパラシュートで空の旅をすれば良いだろう。
「シンさん、目を閉じて下さい」
「あっ、はい。これで良いですか?」
ちゅっ♪
ん?
何か柔らかい物が唇に押し付けられているのだが、そっと目を開けてみると、、、ぐはぁっ!
顔を真っ赤にしたアルテミスさんが目の前に居て、唇を奪われてるぅー(照)
いや、もう、俺の唇なんぞ幾らでも自由に奪ってくれ!
だがしかし
アルテミスさんが少し悲しそうな表情をしている。
「あの、アルテミスさん」
「、、、う゛ぅっ、、むぐぐぐっ!」
くっ!
アルテミスさんが自分の唇を噛んで涙を堪えている。
俺が頑張ってるのは惚れた女性の笑顔を見る為であって、こんな表情をさせる為では無い!
「アルテミスさん、新居を建ててゆっくりしましょう!
キャラバンシティに帰ると2人だけになるのも難しいので、新居を建てて10日ぐらい2人でイチャイチャ生活をしましょう♪」
「え?、、あの、、、、、新居?!」
ふふっ
驚いた顔のアルテミスさんも素敵だなぁ♪
「ハインツさーん、新居を建てられる場所ってありますか?」
「幾つか候補地は御座いますが、シン殿の用意した組み立て式の家を使うのでしたら、この庭が宜しいかと思います。」
「へぇ~、家を建てて邪魔にならない?」
「庭は旦那様が散歩に使う程度ですし、別邸のような位置付けの建物なら問題はありません。」
「分かりました。」
創造神様から貰ったプレハブ仮設住宅はなんと、2階建てにも対応している優れものだったんだ!
まさか仮設住宅に2階建てがあるとは思わなくて完全に見落としてた。改めて収納を見たら、ちゃんと内階段と外階段も仮設住宅のパーツとしてあったよ。
という事で、別邸とか別荘のような使い方をするなら充分だろう。
「あっ、あのう、、、シンさーん、新居は全然建ててくれて良いんだけど、その前にポリマに行ってくれると嬉しいなぁ(汗)」
「アルテミスさんの笑顔を見るまで行きません!」
「ええっ?!」
「という訳でアルテミスさん、出来るだけ長く一緒に居る為にも、笑顔は封印して下さい。」
「はい!でも、新居でシンさんと一緒に過ごせると思うと、自然と笑顔が、、、むぐぐぐっ!」
おぅふ
必死に笑顔にならないように耐えるアルテミスさんが素敵過ぎて、煩悩だらけの俺は消滅しそうだ。
「はぁ~、おかあさんを困らせるのは本意ではないので、そろそろ本当に出発します。その前に、アルテミスさんの笑顔を見せて貰えますか?」
「勿論です!にぃーーっ♪」
あらららら
アルテミスさんが無理矢理口角を上げて笑顔を作ろうとしてるけど、それは笑顔では無いかな(笑)
だがしかし
可愛いから何の問題も無し♪
アルテミスさんの笑顔は帰って来てからのお楽しみという事で
いざ
宿場町ポリマへ!
つづく。
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