第560話 ダサジャージ家族の団らん♪ その2
「はふぅ~、もう食えん!こんなに腹いっぱい食べたのは久しぶりだ♪」
横になってお腹をポンポン叩いてるレヴァティ様はとても幸せそうだ。
きりたんぽ鍋の締めは、カレーにはうどん、トマトにはご飯とチーズを入れてリゾット風に
味噌と醤油のきりたんぽ鍋には、ご飯を入れてシンプルなおじやにした。
デザートはレヴァティ様のリクエストで『ザッハトルテ』
以前アストレア様とアルテミスさんと俺がザッハトルテを食べた事を、アストレア様から聞いたレヴァティ様は、ずっとザッハトルテを食べたかったらしい。
そして
1人だけザッハトルテを食べられず、仕事に支障をきたすくらいに拗ねてしまい、アストレア様からショートアッパーを喰らったんだとか
というような事を、レヴァティ様は爆笑しながら話してくれたから、夫婦仲にも領主の仕事にも問題は無いのだろうと信じてますよ!
「それにしてもこの仮設住宅は、自然とリラックスしてダラダラしてしまうな。」
「人数が少なくて寂しいけど、キャラバンシティの我が家に帰って来たみたいね♪」
プレハブ仮設住宅を気に入って貰えてるのは嬉しいけれど、アストレア様の我が家は同じ敷地内にある立派なお屋敷の方ですよぉ~。
「気に入って貰えたなら仮設住宅はこのまま置いときましょうか?」
「良いのか?!」
「まだ沢山持ってますし新たに仕入れる事も出来るんで、邪魔にならなければあと何個か設置もしますよ」
「では風呂等々の設備が付いて無い、6畳の部屋の方を2つほど頼む!」
「はーい」
「ちなみに、6畳の部屋を売るとしたら幾らで売って貰えるだろうか」
「仮設とは言え一応『住宅』なんで、同じくらいの大きさの木造の家と同程度の値段で売るのが良いですか?」
「シンのその言い方だと、私が欲しいと言えば無料で譲ってくれそうだな」
「ただ持ってるだけより、有効活用してくれるならそっちの方が良いですから。必要なんですか?」
「少し前に台風が来て大変だったのは知っているだろう?
幸いにも我が領地に被害は無かったが、この仮設住宅なら怪我人や病人の一時的な入院先としては最適、、、というか診療所に行くよりここで寝てる方が元気になりそうだ。」
「さすがに寝てるだけでは無理ですって」
「災害時の診療所は劣悪な環境になるんだが、、、まぁ良い。
そういう訳で、何かあれば中立派閥の貴族には金貨10枚で売って欲しい。他派閥の貴族には金貨50枚を提示して、値切ろうとすれば売らないでくれ。」
「5倍はさすがに高過ぎませんか?」
金貨1枚が約10万円だから、仮設住宅の6畳の部屋1つで約100万円って事になる。
仮設住宅の値段なんて知らんけど、風呂やトイレも無いただの部屋とはいえ、組み立て式という特殊性を考えれば妥当な金額か?
ただ、金貨50枚はちょっとどうなんだろうと思う。
「平時なら10倍の値段でも売るのは惜しいくらいだから問題は無い」
へぇ~
風呂とトイレが付いてるなら、価値も天井知らずだろうけど
隙間風の入らないただの綺麗な部屋にそこまで価値があるとは思わなんだ。
「売っても売らなくても損は無いので構いませんけど、手数料は支払うので購入希望の窓口はタウラス子爵とか、同じ中立派閥の貴族にお願いします。」
「それは構わんが、わざわざ窓口を設ける真意は何だ?」
「単純に貴族と交渉出来るだけの知識が無いのと、中立派貴族の皆さんには見えない所でお世話になってるので、この程度の儲けは共有していくべきかと」
「うーむ、これほどまでに周囲の影響を考えられる者など、貴族にもそうはおらんぞ。ますますシンが商人である事が勿体無く思える。」
むにっ!
ん?
「アッ、アルテミスさん?!こういうのは両親の居ない所でお願いします(汗)」
突然腕に柔らかい物が押し付けられたと思ったら、隣に座っていたアルテミスさんがキラキラした瞳で俺を見つめている。
「シンさんって、お菓子とお酒を誰かにご馳走するだけでは無く、政も出来たんですね。惚れ直しました♪」
なんかアルテミスさんに凄く感心されてるけど、お酒をご馳走するだけとか駄目人間に聞こえるから止めて欲しいなぁ。
「ふふっ、シンさんが凄いんじゃ無くて、自分の事と目の前の利益しか見えていない馬鹿が多いだけなんだけどね」
「アストレアの言う通りだな、同じ中立派であっても、池田屋商会絡みで得られる利益をもっと寄越せと言って来る馬鹿が絶えんのだから」
あぁ~
俺が知らないだけで、中立派にも馬鹿な輩は沢山居たか。
まっ、俺の見えない所で騒ぐ分にはどうでもいいけどな。
そういう面倒事を処理して貰う為に、中立派貴族には今まで定期的に酒等々の贈り物をしているんだから
頑張って貰わねば困る!
いざとなったらシエーネさんに、お馬鹿さんの領地の上空をドラゴンの姿で飛んで貰えば良いだろう。
その上で神を怒らせたとかなんとかの噂を流せば、いくら馬鹿でも悔い改めるはず。
それで駄目なら創造神様に頼むだけだ。
家族を守る為なら全力を出すと決めた俺に、もはや躊躇いなどありはしないのだ!
ふはははははは♪
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。