第559話 ダサジャージ家族の団らん♪

色々あって疲れたらしいレヴァティ様の為に、俺は夕食を作っている最中だ。


今夜のメニューはアストレア様が大量に買ったきりたんぽを使った『きりたんぽ鍋』


1人用の小さな土鍋を4つ用意して、味噌・醤油・カレー・トマトの4種類を作って、みんなでシェアして食べて貰う。



「あらまぁ♪屋台で売ってたきりたんぽがこんなに美味しそうな料理になるなんて、流石シンさんね♪」


「シンさんは料理も上手だったんですね(悲)」



あちゃ~


アルテミスさんがきりたんぽ鍋を見て落ち込んじゃったよ。


アルテミスさんには俺が料理を作ってる所を見せた事無かったっけ?


アイスクリームとシャーベットはアルテミスさんと一緒によく作ってるけど、今の我が家だと俺が料理を作る事はほぼ無い。


朝食にウィンナーを焼くくらいだ。



「ふふっ、アルテミスは知らないだろうけど、カスミちゃんに料理を教えたのはシンさんなのよ♪

今ではカスミちゃんの方が料理上手らしいんだけどねぇ」


「え゛っ?カスミちゃんってヨウコさんと同じくらいの腕前ですけど」


「誤解しないように説明しておきますけど、カスミには料理の基礎を教えただけで、後はカスミの努力の結果ですからね」


ガシッ!


おぅふ


涙目になったアルテミスさんに腕を掴まれてしまった。



「シンさん、私に料理の基礎を教えて下さい!」


「そりゃあ教えるのは構いませんけど、本当に基礎しか教えられませんよ?」


「はい!」



最初からカスミに教えて貰う方が良いと思うけど、、、


人数が増えた我が家において、メリル・ケイト・ニィナ・カスミ・スミレの5人は、最古参メンバーとして別格の扱いになっていて、自分から話しかけるのは畏れ多いと思われている感じがする。


家族に序列なんて作る気は全く無いけど、人数が増えたらある程度は仕方無いのかもしれない。


俺に出来るのは、我が家のみんなは平等に接する事だけだ。



「ふぅー、さっぱりした!」


「おとうさんお帰りなさい。やっぱりお風呂は狭いでしょ?」


「1人なら全く問題無いな。何より誰も居ないというのが最高だ♪」



お風呂場から出て来たレヴァティ様は、上下緑色で、腕と足に2本の白いラインが入ったダサジャージを着てとても満足そうだ。


あのダサジャージ、レヴァティ様からリラックス出来る服が欲しいというリクエストに応えた物だ。


半分ネタで渡したんどけど、ダサジャージをダサいという感覚が無いせいで、躊躇する事無く普通に着てしまった。


まぁここは屋敷の庭に出したプレハブ仮設住宅の居間だし、俺達しか居なくて誰にも見られないから良いんだけどさ。


ちなみに、アストレア様はえんじ色、アルテミスさんはピンク色、俺は青色のダサジャージを着ている。


美男美女が着てもダサジャージは変わらずダサいけどな!



「とりあえずかんぱいしましょう。みなさんレモンサワーで良いですか?最近ハマってて持って来たんですけど」



最近俺は『レモンサワーの素』で作ったレモンサワーにハマっている。


その日の気分で濃さを自由に調整出来るのがとても良い♪



「シン殿が持って来た酒なら何でも構わんよ」


「あぁー、『殿』ってそろそろ止めませんか?他人ならともかく家族なんですし」


「確かに家族に『殿』はおかしいか。では、我が息子シン、レモンサワーは濃いめで頼む!」


「はーい、、、それでは、みなさんグラスは持ちましたね?かんぱい」


「「「かんぱい♪」」」



んぐんぐ、、ぷはぁっ♪


濃いめのレモンサワーが五臓六腑に染み渡るぅー!


そういえば両親と一緒に酒を飲むって初めてなんだよな。俺が日本人だった時の母親は酒は飲まない人だったから


新たな両親は、たまに面倒な事も頼まれる(ほぼアストレア様から)けど、両親と一緒に酒を飲める今世は、控えめに言って最高やな♪



「くぅーー、旨いっ!もう1杯♪」


「シンさーん、私もおかわり~」


「はーい、じゃあ、おとうさんにはアルテミスさんがレモンサワーを作ってあげて下さい。俺はおかあさんに作るんで」


「あの、シンさん、私が作るのですか?」


「濃いめなら2倍くらいに薄めれば良いんでよろしくお願いします」


「わかりました。2倍に薄める、2倍に薄める、、、出来た♪お父様どうぞ」


「アッ、アストレア!なぁなぁアストレア!」


「はいはい、私はずっと旦那様の隣に居ますけど?」


「アルテミスが作ってくれた酒だ!コレ家宝にしよう!今直ぐ冷凍庫に入れて保存しておいて、ピスケス家の家宝にしよう!」


シュッ、ドゴッ!


「ぐべぇっ?!」


「せっかくアルテミスが作ってくれたレモンサワーなんですから、馬鹿な事を言ってないで味わって飲みなさい」


「、、、はい」



あらら


アストレア様の左フックをまともに喰らったレヴァティ様がしょんぼりしてしまった。


相変わらずダメージは無いみたいで良かったけど、レモンサワーをチビチビ飲みながらニヤニヤしてるレヴァティ様は、はっきり言って気持ち悪い。


俺の隣に居るアルテミスさんも、ニヤニヤしながらレモンサワーを飲むレヴァティ様を見てちょっと引いてるもの。


父親の事が嫌いな娘って、こういう事が切っ掛けになるのかもしれない。


男の俺でも見ててちょっと嫌だしな。


だがしかし


レヴァティ様はイケメンだしスタイルも良いし優しいし加齢臭もしないから、挽回は充分可能だ。


頑張れおとうさん!


イケおじになれるように、俺が全力でサポートしますからね!






つづく。

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