第551話 保険は多過ぎて困る事は無い?

朝、目が覚めると


俺の右腕をメリル、左腕をカスミがそれぞれ握って気持ち良さそうに寝ていて、カスミを抱きしめるようにニィナが寝ている。


俺がこの世界に転生してから直ぐに出会った3人だけど、この組み合わせで寝る機会は意外にも少なかったりする。


まぁ今日に限って言えばちゃんとした理由があって、メリル、カスミ、ニィナと一緒に寝ている訳だけど


ケイトがここに居ないのにも勿論理由があって意地悪している訳では無い。


ただし


このままだとケイトだけ仲間外れみたいになってケイトが拗ねちゃうから、ケイトはスミレと一緒にお藤お母さんと寝ているはずだ。


ケイトよ、母の愛に包まれて存分に甘えるが良い!



「おーい、みんな起きろ~」


「ご主人様おはようございます!」


「旦那様、おはようございます。」


「はい、カスミにニィナおはよう♪」



うーむ


結婚してからニィナの俺に対する接し方はかなり柔らかくなったけど、カスミからは未だに気合いの入った挨拶をされる事がある。


普段はそんなでも無いんだけどなぁ。


思春期の難しい年頃だから、基本的にはお藤お母さんに任せているんだけど、、、


まぁカスミから「ウザい」とか言われた事も無いし、そっとしておこう。


ただ、未だに気持ち良さそうに寝ているもう1人の年頃の娘からは、思春期っぽい言動は全く見られない。


それはそれで、ちょっと寂しかったりもするのよこれが(笑)



「おーい、メリルさーん、朝ですよぉ~」


「、、、んっ、、んん、、、おはようおにいちゃん、、まだ起きるには早いよ、ふぁ~~~」



そう!


今朝はいつもより少し早めに起きている。


年末年始は色々とスケジュールが詰まってるから(自業自得)、結婚してからアルテミスさんの実家であるピスケス伯爵領に行く予定だったのを、結婚前に変更して今日出発する事にしたんだ。


まぁ結婚後は幾らでも日帰りで行き来が出来るから、結婚前に両親と一緒に過ごす方が良いだろうしな。


ただし


ピスケス伯爵領にアルテミスさんを送ったら、俺とヨウコさんでアストレア様から依頼された『とある御方の護衛』に行かなければいけない


今回は訳有りって事で、移動にチート能力は出来るだけ使わない方針だから、長期間我が家に帰れない事が予想される(悲)


そこで


メリル、カスミ、ニィナに保険として色々渡そうと考えた結果、一緒に寝ていたという訳だ。



「今日から俺は長期間、もしかしたら20日くらい帰れないかもしれないから、万が一を考えて、みんなには色々と渡しておきます。

まずはマジックバッグ、3種類あるから好きなのを選んでいいよ」


「へぇー、容量が違うんだよね?肩掛け鞄は少し邪魔になりそうだから、、、ウエストポーチにする!」


「メリルはウエストポーチね。カスミはどれがいい?」


「えっと、私がこんなにレアな物を持つのは駄目だと思うんですけど」


「カスミィ~」


ぎゅぅぅ♪


「ふぇっ?!」


あらら


勢いで抱きしめたらカスミが驚いて、カスミの耳がぺしょんとしてしまった。



「旦那様」


「ニィナどうしたの?」


「そういう事はお嬢様と、、、わっ、わた、わた、、わたしにも、、して、、、欲しいです(恥)」


「そうだな、ごめんなさい。メリルゥー!」


「おにいちゃん、そういうのはいいから(照)」



はぁ、残念


顔を赤くしたメリルに断られてしまった。


まぁ本気で嫌がっている訳じゃ無いだろうから、次の機会を楽しみにしておこう。



「あまり時間も無いから本題に戻ろう。俺が3人にマジックバッグを渡すのは信頼しているのと、万が一を考えての事なんだ。だからカスミもマジックバッグを持っていて欲しい。」


「はい!」



良い返事だねぇ♪



「あぁ、誤解の無いように言っておくけど、ケイトを信用してない訳ではないから!ケイトにはメリルからマジックバッグを渡しておいてよ」


「いいけど、おにいちゃんから渡すのは駄目なの?」


「駄目じゃないけど、メリルから護衛のケイトに渡す方が後々面倒にならない気がする。」


「よく分からないけど渡しておくね」


「よろしく!カスミとニィナもウエストポーチのマジックバッグでいいかな?」


「はい!」「旦那様の御心のままに」


「さっそくマジックバッグの使用者登録をしてみて」


「えーっ、、よし、登録出来たよ」


「私も出来ました!」


「こちらも完了です。」


「オッケー!今から必要な物を入れて行くから、マジックバッグの入り口を開けたままにしといて貰って、、、行くぜ!」



ザサァーーーーーーーー!


「えっ?ちょっ、おにいちゃんコレ多過ぎない?!」



俺が3人のマジックバッグに入れているのは全部スキルの「店」で買った商品だ。


内容は次の通り。


1本1万円程度の『ウィスキー・ワイン・日本酒』各10本ずつ、合計30本


色んなメーカーのクラフトビール100本


デパ地下お菓子ランキングから、TOP10に入っているお菓子を各10個ずつ。


駄菓子を箱買いで適当に大量


レトルト食品も適当に大量


以上。



「3人のマジックバッグに入れた食べ物は『非常食・手土産・賄賂』等々、自己判断で使って欲しい。たまには普通におやつとして食べるのも有り♪」


「となると、お酒はオリビエさんに何かを頼む時用ですか?」


「ニィナ正解♪まぁお酒もお菓子もトラブル回避に役立つなら、売ろうが誰かにプレゼントしようが好きにしてくれていいから。

だからこそケイトにコレを渡すと、ちーちゃんさんとか他の皆と仲良く食べて即完食しちゃいそうだから、ここには呼んで無いんだ。」


「あぁ~、ケイトなら有り得るね。分かったよおにいちゃん」


「アストレア様、リリー、シエーネさんの

3人が居てトラブルなんて起きないだろうけどな(笑)

とは言え、油断はせずに出来る事は全てやっておく。

最終手段は、ふーちゃんとちーちゃんさんにお菓子を対価に助けを求めて欲しい。」


「創造神様ではなく、ふーちゃんとちーちゃんさんの2人で宜しいのですか?」


「助けを求めるのはあくまでも『屋台の常連客』である、ふーちゃんとちーちゃんさんだ。神様に助けて貰うと後々問題になりそうだから、建前として一応ね。」



「ねぇ、おにいちゃんに聞きたいんだけど」


「疑問や質問はドンと来い!」


「おにいちゃんは邪神と戦おうとしてるの?」


「ええっ?!いやいやいや、メリルさん、邪神と戦うとか恐いことを言わないで欲しい。邪神なんて存在してるのか知らんけど、人の力ではどうにも出来ひんから(汗)」


「じゃあおにいちゃんが留守の間、高級なお菓子は、ふーちゃんとちーちゃんの2人と一緒におやつの時間に食べるね♪」


「そう、、、だね。みんなで楽しんで貰えるなら嬉しい、、、?」



あれれ?


なんかこう、俺が考えてた感じと違う気がするのだが?


カスミには慈愛に満ちた表情で見つめられていて、ニィナからは生温かい目で見られてるし


そこはかとなく腑に落ちないんだけど


メリルの楽しそうな顔が見れたから、まぁいいか♪






つづく。

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