第547話 会長のお仕事 その4

「ナガクラ君も忙しいだろうから、私はナガクラ君の家でゆっくりさせて貰おうかな。旧領主邸にあるんだっけ?」


「ええ、従業員やドワーフの皆さんと一緒に住んでる分、大きな建物だから直ぐ分かると思います。

その前に、マジックバッグを入手したのでナタリアさんとタコヤーさんにプレゼントしますね。3種類あるので選んで下さい。」


「「なっ?!」」


「あの、シンさん、今マジックバッグと言いましたか?」


「言いましたね。アリエス辺境伯領の上級ダンジョンに行けば幾らでも手に入るんで、遠慮は無用です。」


「「あぁ~」」



タコヤーさんとナタリアさんが同時に、納得したような呆れたような声を出しちゃってるけど、さすがの俺も呆れられる心当たりがあり過ぎて気にならなくなってきたよ。



「タコヤーさんには容量が1番多い肩掛け鞄タイプがお勧めですね。1000㎏入るんで役立てて下さい。」


「そっ、そうですか、頑張ります。」



「次はナタリアさんですね。薬師の仕事にはウエストポーチが1番使いやすそうに思うんですけど」


「薬草採取は両手を自由に使いたいからウエストポーチは最適だけど、、、レアなアイテムをこうも簡単に出されると、マジックバッグを必死になって手に入れようとしている貴族が可哀相になってくるね」


「それはしょうがないですよ。俺にはマジックバッグを簡単に取って来れるだけの運と実力があっただけなんで」


「ぷっ」「ふふっ」


「「あははははは♪」」



あらら


ナタリアさんとタコヤーさんに爆笑されてしまった。



「ナガクラ君と居ると色んな事が経験出来て本当に楽しいよ♪」


「私もシンさんのお陰でやり甲斐のある仕事が出来て楽しいです。」


「ではナタリアさんとタコヤーさんは私が家まで案内致します。旦那様の護衛にはリリーさんかヨウコさんに来て貰うので心配無用です。」


「了解でーす。ナタリアさんにタコヤーさん、我が家自慢のお菓子でも食べてゆっくりしてて下さい。」


「それは楽しみだ♪」


「シンさんのお菓子は特別美味しいですからね。」








うーむ


応接室に1人になってしまって暇だ。


聞き忘れていたけど、訪問者ってまだ居るのだろうか?



ガチャッ



「ニィナさんに呼ばれて来ましたよぉ~♪」


おわっ?!


ノックも無く応接室に入って来たのはヨウコさんだ。


ニィナ達が応接室から出て行ってまだ1分も経っていないんだが。



「随分早かったですねヨウコさん」


「同じ街の中なら短距離転移も簡単ですから、こんなものですよ。」



あぁ~


忘れてたけど、神獣って転移魔法で移動が出来るんだった。


ただし


自分の管理する地域でしか転移魔法を使わないのが神獣同士で決められているらしく、他の神獣が管理する地域に転移魔法で移動出来たら楽なのにってヨウコさんに言ったら


ものすごーく嫌な顔をされた過去があるけどな。



コンコン


おっと


4組目が来たようだ。



「はーい、どうぞー」



ガチャッ



「失礼しまーす。」


「いらっしゃいませ、、、おかあさん?!いや、今は仕事中だから、アストレア様何か御用ですか?」



なんと4組目の訪問者はアストレア様だった。



「うふふっ、息子の働く姿を見たくて来ちゃった♪」


「俺もおかあさんに頑張ってる所を見て貰えるのは嬉しいから良いんですけどね」


「息子の顔を見に来たついでに依頼があるんだけど良いかしら?

最高レベルの機密だから、内容を聞くと断れないんだけど」


「わざわざアストレア様がここに来たって事は、たとえ聞かなくても既に断れ無いんでしょ?」


「そうなの。シンさんは理解が早くて本当に助かるわ。普通の面倒事だったら私がなんとかするんだけど、今回はそうも行かなくて。

確認だけど話は聞くって事で良いのね?」


「はい」


「ありがとう。それで今回依頼したいのは、とある御方を護衛してキャラバンシティまで連れて来て欲しいの」


「とある御方の名前は言えないんですね?」


「言えないのもあるけど、シンさんには先入観無しで会って欲しいのもあるわね。さっきも言ったけど、普通の面倒事ならシンさんに頼らず私がなんとか出来たのよ。


でも今回はシンさんにも関係があって、その護衛して欲しい御方は炎を纏った鳥から預かった物があるらしいのよ」


「あ゛っ(汗)」



はい、理解でーす。


隣に座ってるヨウコさんが、突然焦った声を出して挙動不審になってるって事は、そういう事なのだろう。


炎を纏った鳥なんて神獣以外に居ねぇーよ!


創造神様に直接確認出来れば早いんだけど、俺がそれをすると神獣の皆さんの立場が悪くなりそうな気がするから、創造神様に聞くのは最終手段にしたい。



「ヨウコさんに確認なんですけど、炎を纏った鳥に心当たりは?」


「えーーーーっと、そっち関連はいつものように答えられなくて大変申し訳ないのですが、色々と察して頂けると(汗)」



ヨウコさんの反応から分かってはいたけれど、炎を纏った鳥は神獣で確定!


具体的に誰を護衛するのかも、炎を纏った鳥から何を預かったのかも分からんけど、神獣が俺に不利益になるような事はしないだろう。


おかあさんからの直接の依頼だし、全力で頑張りまっせ!






つづく。

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