第544話 会長のお仕事
今日は久々に池田屋商会会長としてのお仕事だ!
本来なら副会長のメリルも居た方が良い気もするけど、メリルはコロコロカートの販売方法を考えるので忙しいだろうから仕方ない。
俺の隣にはニィナが居るから問題は無いだろう。
幸いにも俺の奥さんは全員優秀だから、今後は適材適所でそれぞれ担当する部署を決めて効率アップを目指しても良いかもしれない。
さてと
訪問者が来てるって事だし、待たせるのは駄目だからアルに呼んで来て貰いますか。
「それじゃあアル、1人目を呼んでくれ」
「かしこまりました。」
【1人目】
キャラバンシティの酒場のマスター
客が減って酒場を経営していくのが厳しくなったので、池田屋商会に雇って貰いに来たらしい。
この1人目の時点でアルが俺を呼んだ訳が分かったよ。
昔から酒場が稼げる理由はドワーフが常連客として居るからだけど、現在ドワーフ達は俺の販売する酒しか買わないし、自分達で酒を造るようになったから酒場に行く事は無い。
それでもキャラバンシティは街そのものを拡張して人口が増え続けているし、行商人も沢山来るから酒場も繁盛してたはずなんだけど
俺がドワーフにしか売っていない瓶ビールの現物が、ついに転売されて他領に流れたらしい。
まぁ瓶ビールはドワーフにしか売っていないとはいえ、組合の会合で差し入れしたりとか池田屋商会の従業員には安く売ってるから、親戚や知り合いに贈る人も居るし、中には転売する人も居る。
そうなると瓶ビールの味を知る人も増えて、徐々にだけど確実にエール離れが進むのは自然な流れだ。
ここまでなら酒場の経営もやっていけたけど、瓶ビールを求める人が最初に行くのは何処か?
それは当然酒場だ。
でも酒場に瓶ビールは無い。
「キャラバンシティは瓶ビールが有名なのにどうして無いんだ!」とキレられる。
その結果
クレーマー対応に疲れて果てた酒場のマスターが俺の目の前に居る。
本当にごめんなさい。
「あの、アルヴェロヴェール様、俺は池田屋商会で下働きさせて貰えれば充分なんですけど、どうして会長様もいらっしゃるのでしょうか?」
酒場のマスターは部屋に入って来た時に俺を一瞬チラッと見ただけで、その後全然こっちを見てくれずに、アルの方を向きっぱなしなんだが
別に俺を見てくれなくてもいいけど、俺の隣には世界で1番別嬪さんなニィナが座っているんだから、ニィナの事は見なさいよ!
「下働きとは言え池田屋商会で働くのですから会長の許可は必要です。シンさん、どうしますか?」
「下働きで良いなら構わないよ。でも、どうせなら新しい酒場で働いてみませんか?」
「それは池田屋商会直営の酒場って事ですか?」
「その予定です。実は以前から商店街を作りたいなと考えてたんですよ」
「ほぉほぉ、その『商店街』という物は何なのでしょうか?シンさんが考えたのですから、絶対に作るべき物なのでしょうね。
シンさんの考えを誰よりも先に拝聴出来る以上の喜びがこの世にあるでしょうか?
答えは否!
はぁ~、私はまたしてもシンさんの知識の奔流に飲まれてしまうのですね♪」
おぅふ
面倒くさい男の面倒な部分が限界突破して、誰にも止められなくなってしまっている(汗)
「とっ、とにかくだ!商店街を簡単に説明すると色んな店を集めた場所って事になる」
「メイン通りには既に商店が集まっていますけど、それでは駄目なのですね?」
「駄目では無いけど、キャラバンシティは人口が増え続けているから、新たに商店を集めた通りがあっても良いと思う。
鍛冶屋等の専門店だけを集めたり、飲食店だけを集めても良いと思う。」
「なるほど、確かに飲食店は1ヶ所に集まっていた方が客としては嬉しいですが、他店との競争も激しくなるのでは?」
「相乗効果で客が増える反面、不人気店は即潰れるだろうな。
だから期間を区切って店舗を貸し出して、一定金額以上の売り上げがあれば契約更新するとか、店舗を持ちたい人の練習場所として貸し出すとか、色々とやりようはあると思う。」
「ふむふむ、なるほどなるほど!これは将来シンさんが領地を持った時の練習という訳ですね♪」
「えっと、違うね。俺は領地は絶対に要らんからな。
それで商店街の場所はスラム街を潰して作れば良いと思うんだよ。
以前からキャラバンシティに居た人達は何かしら仕事を見つけてスラム街を出てるし、今スラム街に居るのは他所から流れて来た人達ばかりだから、新しく仕事の斡旋所を作ればスラム街を潰しても問題は無いだろう。
領主代行のアストレア様には俺が話をして許可を得るから心配無用だ。」
「全てはシンさんの御心のままに。それではマスターさんには新しい酒場が出来るまで、配送夫として頑張って下さい。」
「え?、、、あっ、はい!頑張ります!」
ふぅー
まだ1人目なのにめっちゃ疲れたんですけどー(汗)
だがしかし
たまにしかない会長の仕事だから、まだまだ頑張っちゃうんだぜ♪
続いて2人目
行ってみよー!
つづく。
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