第537話 別れの朝

朝、目が覚めると


ニィナが俺の左腕を掴んで気持ち良さそうに寝ている。


昨夜は疲れていたのもあって俺は早めに部屋に戻って休んだけれど、宴会は日付が変わる頃までやってたのかな?


ニィナも最後までジュリアさん達と酒を飲んでいたらしく、ふらふらした足取りで部屋に戻って来たのを、寝ぼけながら出迎えたのをうっすら覚えている。


っていうか


さっきから右の頬にフサフサした何かが当たってムズムズするんだけど!


ゆっくり顔を右側に向けると、、、


もふもふキツネ姿になった、いや、戻った?ヨウコさんが丸くなって寝ていた。


人型の維持はそれなりに疲れるのかもしれないけど、部屋には人数分のベッドが置いてあるんだから、わざわざ同じベッドで寝なくてもいいと思う。


しかも寝てる位置が俺の顔の直ぐ横だし。



今回のやるべき事は全部終わってるから、さっさと朝食を食べて我が家に帰りたいんだけど、気持ち良さそうに寝ているニィナとヨウコさんを起こして良いものだろうか?


仮にニィナが寝惚けてパンチでも繰り出して来たら、俺は1撃で大ダメージ確定なんだが(汗)


念の為に自動回復の魔法をかけてから起こす事にしよう。


はい、自動回復っと



「おーい、ニィナさーん、朝ですよー」


「んっ、、、んん」



ほっ


いきなりパンチが飛んで来る事は無かったか。



あれ?


急に左腕に謎の違和感が、、、


ぎゅうぅぅぅ!


ぐぁっ、絞まってる絞まってる!


ニィナが寝惚けて俺の腕をぎゅっとして


超絶腕が絞まってるぅーーー(汗)


自動回復のお陰で全然痛く無いけど、凄い勢いでmpが消費されてる気がするんですけどー!


無駄に豊富な俺のmpがガンガン消費されて、mp枯渇の危機が迫ってる気がするぅー(汗)



「ちょっ、ニィナさん起きてー!」


「んっ、、八、、、宝、菜、、むにゃむにゃ」



あかーん、完全に寝惚けてるやつー!



「愛しの奥さーん、早く起きてぇー(汗)」


「、、、んっ?!、、私は愛され妻ですが何か?」



ほっ


無事にニィナが起きてくれて助かったけど、完全に寝惚けている。もしくはまだお酒が残ってるとか?


こんな時は製薬スキルで、スポーツドリンク風のアルコール分解薬をちょちょいと作れば


水分補給とアルコール分解が同時に出来て一石二鳥だ♪



「ニィナ、これ飲んで」


「んぐんぐんぐんぐ、ふぅー、、、旦那様おはよう♪」


「あっ、はい、おはようございます。」


「旦那様どうかしたの?」


「いえ大丈夫です。お腹が空いてるだけですから。おーいヨウコさんも早く起きてー」


「ふわぁ~~、、ボフン、、、ナガクラ様おはようございます。昨夜はセルジオさんと有意義な話し合いが出来ました♪」



謎の煙を出しながら、もふもふキツネ姿から人型に戻ったヨウコさんは、昨夜はとても充実した時間を過ごしたようだ。



「じゃっ、朝食食べに行こうか」


「「はーい」」



勝手知ったるステフ様の屋敷だから、メイドさんの案内無しでも迷う事など無いけれど、昨夜の宴会が盛り上がり過ぎたせいか、メイドの皆さんは宴会の後片付けで大変そうだ。


勤務シフトの関係で宴会に参加出来ない人も居ただろうから、2~3回宴会が出来る量の梅酒とソーダ水を差し入れしておこう。



中庭にあったゴミを、俺の収納に回収して後片付けを手伝っていたら、目をしぱしぱさせて眠そうなステフ様と、晴れやかな表情のケーニッヒさんがやって来た。



「ステフ様にケーニッヒさん、おはようございます。」


「「おはようございます。」」


「ナガクラ君にニィナさん、ヨウコさん、おはよ~」


「ナガクラ様、ニィナ様、ヨウコ様、おはようございます。」



「えっと、ステフ様は随分とお疲れのようですけど」


「ナガクラ様、心配無用にごさいます。『牡羊の宝珠』を持ったステファニー様は疲れませんから。

それに領地発展の為の各種手続きで徹夜をするなど、領主としては至上の喜びでしょう♪」



『牡羊の宝珠』の効果って、あくまで疲れにくいだけじゃなかったかな?



「ナガクラ君、ケーニッヒの言う通り疲れてはいないから大丈夫。ずっと書類を書いてたから、目がしぱしぱするけどね」



おーい、ステフ様


それは『眼精疲労』と言う、目の疲れですよぉー!


ステフ様の眼精疲労の原因は、俺がダンジョン攻略したりとか色々したせいだから、製薬スキルで目薬でも何でも作りますけどね。


他にもお詫びとして、ステフ様に朝食のリクエストでも聞きますかね。






つづく。

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