第535話 ソーダ水

「皆さん本日もお疲れ様でした。かんぱーい!」


「「「「「かんぱーい♪」」」」」



グビッ、グビッ、ぷはぁ~♪


キンキンに冷えた程好く甘い梅酒のソーダ割りが疲れた体に染み渡るぅ~♪



「ナガクラ様!この梅酒ってやつは、しゅわしゅわしてて旨いですねぇ♪」



セルジオのとっつぁんは梅酒のソーダ割りがそうとう気に入ったのか、早くも2杯目を飲んでいる。


こうなると炭酸水も作り方をレシピ登録して広めたいけど、作るのは難しそうだよな。


炭酸泉みたいに湧き出してる場所があれば良いんだけど。



「しゅわしゅわはソーダ水で割ってるからなんですけど、しゅわしゅわしてる水が湧き出てるとか聞いた事無いですか?」


「湧き水で有名なのは『龍殺し・臭水・黄金水・炭酸泉』ってとこですね。

ただどれも場所が山奥とかなんで実際見た事はありやせんが、どれか1つくらいはしゅわしゅわしてるんじゃないですかね?」



へぇ~、日本にもあった名水100選みたいな感じか?


『龍殺し』って言われるとなんとなく美味しいお酒っぽく聞こえるぅー♪


ただし龍を殺す程の有毒ガスが発生してるとかだったら見に行けないけど。


『臭水』はそのまんま臭い水が湧き出てるんだろうか?臭い原因が硫黄だったら温泉の可能性ありだな♪


『黄金水』は何の予想も出来ないけど、『炭酸泉』はそのまんま炭酸水が湧き出てるんだろう、、、っていうか炭酸泉?!



「えっと、炭酸泉って言いました?」


「確かに言いやしたね。炭酸泉はケフェウス子爵領にあるって噂で、、、もしかして炭酸泉が?」


「探していた、しゅわしゅわ水です。」


「おおっ!」



創造神様が創造した世界なんだから『炭酸泉』もあるだろうとは思っていたけれど、まさかセルジオのとっつぁんが知ってたとはなぁ


今まで本気で探して無かったとはいえ、完全に盲点だった。


湧き出してるのが熱湯なら『温泉街』として観光地化するのもありなんだけど、、、



「ちなみに湧き出してる水の温度は分かりませんよね?」


「残念ですがそこまでは分かりませんね。」


「ですよねー。水や空気中にしゅわしゅわの素が含まれてるんですけど、魔法で取り出せたりは、、、」


「魔法は完全に専門外ですからねぇ。でも水魔法が得意な奴なら取り出せるんじゃないですか?ドラゴンを倒すよりは簡単そうに思えますが」



水魔法で取り出す、、、


神獣であるヨウコさんなら余裕で出来るかもしれんけど、それなら俺がスキルの「店」で炭酸水買うのと変わらんから意味無いし


ドラゴンと戦えるくらいの魔法が使えるって事なら王国十二家の当主くらいか?


となると身近に居るのはステフ様だけど、火魔法が得意だったから無理だろうな。


俺もこの世界に来て1年以上経つから頼れる知り合いはそれなりに居るけど、水魔法が得意な知り合いなんて居ない、、、待てよ


レヴァティ様って水魔法を使ってたよな?


しかもステフ様の広域殲滅魔法のような力任せの魔法じゃなく、水のカーテンのような物を広範囲に展開していて、あれは凄く繊細な魔法に見えた。


レヴァティ様はピスケス伯爵家当主なんだし、水魔法に特化してても不思議は無い。



しゅわしゅわの素は二酸化炭素。


普通の水にも二酸化炭素は微量だけど含まれているから、水から二酸化炭素を取り出すか集めるかして、『炭酸水』も作れるのでは?


幸いにもレヴァティ様は俺の義父になる予定の人だから、気軽に相談もしやすい。


夢が広がってワクワクするぅー♪


ちょっと待てよ


冷静に考えるとこれってまた人手が沢山必要になるんじゃね?


そして人手不足になって自転車操業になるやつ・・・


まだ大丈夫!


まだ構想段階であって何も始まって無い!


レヴァティ様が炭酸水を作れるのかを確認してからだし、炭酸泉も質と湧き出る量次第では領主に丸投げすればいいんだし


なんとかなるなる♪






つづく。

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