第524話 ダンジョンに入りたい。

「よしっ!次!」


「3人です。お願いしまーす。」


「ちょっと待て、お前達の装備はそれだけか?」


「そうですけど何か?」


「何か?じゃ無い!そんな軽装の奴をダンジョンに入れる訳にはいかん!」


「えぇー?!そんなルールは無いですよね?受け付けでもギルドカードを持ってるなら問題無いって言われましたし」



ダンジョンに入る為の許可証は身分証があれば発行されるって事だったから、商業ギルドのギルドカードを提示して無事に許可証を貰い


いざ


ダンジョンに入ろうとしたら、入り口に立っていた騎士に止められてしまった。


手ぶらだと流石に怪しまれると思ったから、わざわざ保存食を詰めたリュックを背負い、ポリカーボネート製のアームガードと鉈を装備したというのに(悲)



「許可証を持ってるならダンジョンに入って構わんが、お前はどう見ても非戦闘員だろ?

ダークエルフの女性はそれなりに武芸の心得があるようだが戦力不足だ!せめて戦える奴をもう1人連れて来い!」



うーむ、困った。


騎士の男は俺達を心配して言ってくれているだけに、強引にダンジョンに入るのは心が痛むからしたくない



「ニィナ、ヨウコさん、どうしようか?」


「殴って記憶を失わせれば問題ありません!」


「いっそのことあの男を半殺しにして実力を示すのが早いのでは?実力を認めさせた後で、きっちり回復させてやれば問題無いでしょう。」


「オッケー!大丈夫、俺がなんとかするから、2人はいなり寿司とサラダ巻き寿司でも食べて待ってて下さい。」


「「はーい♪」」



もしかしてニィナとヨウコさんはお腹が空いてて機嫌が悪かったんだろうか?


今後はこまめにおやつの時間を設けるとしよう。



「お待たせしました。ようするに俺が戦えるって事が分かればダンジョンに入って良いんですよね?」


「それはそうだが、もしかしてお前は魔法使い、、、でも無さそうだな。」


「こう見えて魔法は使えます。とにかく見せますね、よいしょっと」



背負い袋から取り出すフリをして、収納からスタンガンを取り出し威力を最弱に設定してと



「手に持ってるのは魔道具か?」


「ええ、俺の雷魔法を封じ込めてあります。行きますね、せーのっ」



パチパチパチパチパチパチ



「ふむふむ、確かに雷魔法のようだが、この程度ではゴブリンも倒せんだろう。」



ふっふっふっ


今のスタンガンの威力は、電気が流れるイタズラグッズと同じくらいだけど、それでも指で触れば飛び上がるくらい痛いんだから、電気を侮ってはいけない。



「本当にゴブリンも倒せないかは触って確かめて下さいよ。」


「いいぜ。こんなんで納得して帰ってくれるならいくらでも触ってやるよ。ほれっ、ギャーーーーーー!!」


「がははははは、お前何ガキみたいに叫んでんだよ」



ずっと様子を見ていた仲間の騎士が爆笑しているけど、スタンガンを触った男は涙目になっている。



「うるせぇー!スゲェー痛いけどなんなんだよコレ(泣)」


「さっきも言ったように雷魔法ですね。ちなみに威力は最弱です。」


「あんなに痛いのに最弱だと?!」


「凄く痛いけど怪我はしてませんよね?」


「え?、、、あれ?あんなに痛かったのに、本当に怪我してない」


「そういう事です。たとえ相手が死ななくても動きを止めるには充分なんで、その間に攻撃するっていう戦法ですね。これでダンジョンに入って良いですか?」


「まぁ、良いだろう。ダークエルフの姉さんと連携すりゃあ、そうそう遅れを取る事も無いだろうからな。」


「ちょい待て、俺は納得して無いぞ。」



あちゃ~


もうひとりの騎士の男がめっちゃ不満そうにして俺を睨んでいる。


これは面倒事の匂いがする(悲)



「はぁ、どうすれば納得してくれるんですか?」


「俺がお前の雷魔法に耐えられたら、黒髪の姉さんを紹介しろ!」



ヨウコさんって見てるだけなら凄く優しそうな美人のお姉さんではあるんだよなぁ


ただし


ヨウコさんって俺の家族や知り合い以外の人には興味がゼロだから、下手に声をかけてイラッとさせたら、、、


相手がどうなるかは俺にも分からん!


ヨウコさんは常識を持った神獣だから、死ぬような事にはなら無いだろう。



「紹介するだけなら構いませんけど、3秒間耐えられなかったら通して下さいよ?」


「おうっ、約束してやる!お前も約束は守れよ!」



スタンガンの威力をさっきよりもすこーしだけ上げてと



「はいはい、約束は守りますからいきますよーっと、はいっ」



バチバチバチバチバチバチバチ



「よっしゃっ、行くぜ!せいっ、だぁ゛ーーーーー(泣)」



あらら


騎士の男はそうとう痛かったのか、泣きながら三角座りをしてしょんぼりしてしまった。


いや、ホント、なんかごめんなさい。


後日ステフ様経由で酒でも差し入れするから許して欲しい。



「じゃっ、約束通りダンジョンに入って良いですね?」


「おっ、男に二言は無いやい(泣)」


「ありがとうございます。ニィナ、ヨウコさん、行きますよー。」


「「はーい」」



いざ


ダンジョン攻略へ!






つづく。

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