第522話 隙間時間にダンジョンはいかが?

「いいかお前達、今回はナガクラさんの個人的な依頼と報酬なんだからな!抵抗しようが何をしようが、私に出来る事は何も無いからな!」



あちゃ~


リアさんが奴隷の皆さんに本日3回目の注意をしているけど、皆さんジト目でリアさんを見ている。


なんちゃってクロックムッシュは大好評で、一瞬のうちに完食してくれたまでは良かった。


その後、奴隷の皆さんが今後も同じものを用意しないなら命を懸けて労役をボイコットするぞ!


というような雰囲気をビシバシさせるんだもの、皆さん無言だったからあくまでもそういう雰囲気を感じただけだけど


まぁベーコンもチーズも取り扱っている商会なり行商人なりが居るだろうから、リアさんが個人的に買えばいいし


マヨネーズはマーサさん達が作れる事を教えたら


『とりあえず納得してやる』みたいな雰囲気になったから、なんとかなるだろう。



「ナガクラさぁ~ん、やっぱりコレ駄目なやつぅー(泣)」


「バターはレシピ登録しておきますから、後は領主様にバターを量産してくれるように嘆願書でも出して下さいよ。」


「騎士爵の私にはそれも無理なやつだからぁー!」



嘆願書を読むのはステフ様じゃなくて、主に執事のケーニッヒさんだろうけど、たとえ平民からの嘆願書でも読んでくれると思うけどな。


いや


領主様に届く前の段階で嘆願書を確認する役人が何人も居て、そこで嘆願書がボツになるのが普通か?


なんやかんやで俺はそういうのすっ飛ばしてるから、ようわからん。


とにかく、本来の目的だった運んで来た食糧を貯蔵室に入れてと、他の駐屯地の食糧は居住区域の空いたスペースに放り込んでおく。


明日にでも取りに来るって事だから問題は無いだろう。




「じゃあ我々は帰りますね。」


「あぁ、色々と新たな問題も出てしまったけれど、概ね良い方向の変化があった事に関しては改めてお礼を言うよ、ナガクラさんありがとう。」


「いえいえ、機会があればまたお会いしましょう。ヨウコさんお願いしまーす。」


「はーい、いきまーす。」


ブワッ!


ヨウコさんの風魔法を受けてパラシュートが広がり一気に上昇して行く



「あとはこのまま飛んで帰るだけだな。せっかくだから少しぐらい観光して帰ろうか?」


「でしたら!良き場所がありますけどいかがですか?」



ニィナ・俺・ヨウコさんの順番で3人一緒にハーネスで繋がってる為、背後からヨウコさんに話かけられても俺から表情は見えないのだが


ヨウコさんの声が凄くヤル気満々なのが気になる。



「時間はあるからいいけど何処なの?」


「その前に、人族というのはダンジョンが好きと聞きますけど、ナガクラ様はダンジョンに興味は無いんですか?」


「ダンジョンかぁ、興味はあるけど命の危険を犯してまで行くメリットが今の俺には無いよ。

1年前なら便利なアイテムを求めて行ったかもしれないけど、今はダンジョンに欲しい物があれば冒険者に依頼して取って来て貰うかな」


「そっ、そうですか(汗)私と一緒に行けば安心安全にダンジョンを攻略出来ますけど」


「ヨウコさんが担当してるダンジョンでもあるの?」


「質問の意図がちょっと分かりませんけど

、私が担当しているダンジョンはありません。」


「神獣って基本的に自分の担当してる地域とか勇者の試練しか直接関われないっぽいから、ヨウコさんの担当してるダンジョンがあるのかと思って」


「あぁ~、そういう意味ですか。ダンジョンに神獣は関わってませんので出入りは自由ですね。

ナガクラ様の懸念も解消されましたし、隙間時間にダンジョン探索はいかがでしょうか?」



おーい、ヨウコさーん


バイト感覚でダンジョン探索を勧めるのは止めて欲しい。


ただヨウコさんがここまで積極的にダンジョンをお勧めして来るって事は、上司から無言の圧力でもあったんだろうなぁ



「ヨウコさんが責任を持って守ってくれるならダンジョンに行っても良いかな。ただし条件があります。」


「本当ですか?!条件とは?」


「沢山荷物が入るマジックバッグが欲しいから、それが手に入るダンジョンなら喜んで行くけど」


「あります!マジックバッグが手に入るダンジョンはいつでも探索者を募集してます。ではさっそく行ってサクッと攻略しちゃいましょう♪」



ダンジョンって隙間時間のバイト感覚で攻略しちゃいけない気がするけど、神獣が一緒なんだから今さらか(笑)


いざ


初ダンジョン!






つづく。

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