第514話 暗躍、、、出来ず。

「んぐんぐんぐ、ぷはぁっ!うまぁーい♪」


「気に入って貰えて良かったです。」



本日のお仕事も無事終了したので、メイドさん達に夜食のお菓子とお酒を差し入れして、前回来た時のように暗躍の時間を楽しもうと思っていたら


ステフ様の護衛のリィファさんとエミールさんに、ステフ様の執務室に強制連行されてしまった。


まぁメイドさん達の方はニィナとヨウコさんが上手くやっているだろう。


そしてステフ様も無事に本日の仕事は終わらせたって事なので、フライドポテトと唐揚げをつまみに出して、最近俺がハマっている『レモンサワーの素』で作った薄めのレモンサワーをステフ様と2人で飲んでいる。



「それにしてもナガクラ君は次から次に色々とやってくれるから、一緒に居てまったく飽きないよ♪」


「退屈よりは良いですよね!アハハハ」



俺も好きで色々やってる訳では無いんだが、ヤン先生とか色んな人に会う度に言われるから、もはや渇いた笑いしか出ないよ。



「こっちにも莫大な利益のある事ばかりだから文句は無いんだけど、何もして無いのに分け前を寄越せって言ってくるお馬鹿さん達を黙らせるのが少し面倒なくらいかな、あはははは♪」



そこは笑う所なのだろうか?


お馬鹿さんが減るのは大歓迎だけどさ



「お馬鹿さんの話はどうでも良いです。それよりさっきからステフ様がずっと大事そうに手に持ってる書類の束は何ですか?」


「この書類はね、アリエス辺境伯家で1番重要な書類だよ。ナガクラ君が来てくれたのは嬉しいけど、この書類が増えるのだけがねぇ。ナガクラ君にも関係があるから見てみなよ」



ステフ様から書類の束を受け取り見てみると、、、


あぁ~


書類の束はアリエス辺境伯家で働く人達から出された『要望書』なのね。



1枚目


ヤン先生から、『乾麺の定期購入』の要望。



豊かな食事は心も豊かにするって言うし、ここは『友達割り引き』を適用して4割引きで乾麺を提供しよう!



2枚目


執事のケーニッヒさんから、『コーヒーの購入量増加』



ケーニッヒさんにはステフ様の暴走を未然に防ぐという重要な役割があるからな、ここは俺から個人的にコーヒーを贈らせて貰おう。



3枚目


セルジオのとっつぁんから、『池田屋商会で販売してる食べ物全部買って下せぇ!』



おいおい、とっつぁん


要望書でもこのノリと勢いは大好きだけど、買うのは保存食に限定するとかもうちょっと考えようぜ。


これはステフ様の判断に任せるとしよう。



4枚目


メイドさんから、『コロコロカートを購入します!』



もうこれは要望でも何でも無くて、ただの宣言ですね。


ただコロコロカートはヤン先生に5台プレゼントしたのにまだ足りないのかな?



「あのステフ様、コロコロカートってそんなに大量に必要なんですか?」


「そこまで必要って訳じゃないとは思うんだけど、、、」



むむっ?


何故かステフ様の歯切れが悪いんだが



「だけど?」


「前回ヤンが持ち帰ったコロコロカートで揉めたのは知ってるよね?

揉めるぐらいならナガクラ君に返却する!って言ったら、メイドさん達が3日ほど仕事をボイコットして大変だったよ、アハハハハ」



あっ、はい


ステフ様の心中は充分過ぎるほどにお察ししまーす。


アリエス辺境伯家で働く人は沢山居て、ゴミだけでも毎日大量に出るんだろうと思う。


そのゴミを運ぶだけでもコロコロカートがあるのと無いのとじゃ効率が全然違うんだろうな。


ここはスキルの「店」を検索して、、、あった!


購入をポチッとな



「ステフ様、こういうのでも良いですか?」


「ん?おおっ!これはまさにメイド達が欲している形の物だと思う!」



俺がスキルの「店」で買ったのは、配送業者が使う大人が4~5人乗れそうな大きさのキャリーワゴンだ。


貴族の屋敷で使うなら業務用の物でちょうど良いだろう。



「とりあえずこのキャリーワゴンを2台使って貰って、小さいのが良いとかあれば後日無線機で教えてくれればいいです。」


「ナッ、ナガクラくぅ~ん、持つべき物はやっぱり心の友だね(泣)」


「いや、まぁ、代金は頂くんで泣くほど喜ばれると心苦しいのですが」


「代金を払うのは当然だから気にしないでよ。一方的に助けるだけの関係なんて、心の友とは呼べないんだから」



おおっ!


ステフ様が劇場版のジャ○アンに見えて来た。


ただしこっちの劇場版ジャイ○ンは、普段からスゲェー良い奴だけどな♪






つづく。

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