第513話 薬師のヤン先生となんやかんや その2
「「「いただきます。パクッ」」」
コロコロカート問題も無事に解決したので、ヤン先生が持って来た甕の中身をニィナとヨウコさんと一緒に試食している。
焦げ茶色のドロッとした何かに挽き肉がゴロゴロ入ってて、甘めの味付けで普通に美味しい
でもこれって単体で食べるものでは無いだろうから、料理次第では化けるだろうなという印象はある。
「味はどうだい?」
「普通に美味しいですけど、これって肉味噌ですか?」
「確かに味噌は入ってるよ。最初は君に貰った麻婆ソースを再現しようとしたんだけど、材料が足りないのか無理そうだったから方向性を変えてみたんだ。」
「へぇ~、でもこの部屋に保管してるって事はまだ試行錯誤中ですか?」
「とりあえず米とパンに乗せて試食はしたんだけど、何か違うんだよね」
米は単純に食べ慣れてないせいかもしれんけど、アリエス辺境伯領はハード系の堅いパンが主流だから肉味噌を乗せても微妙っぽいよな
コッペパンならもう少し違った印象になったかもしれんけど
「とりあえずもっと辛味は欲しいですね」
「辛味は好みが別れるから、どんな料理に使うか決めてからにしようと思ってね。
ナガクラ君なら肉味噌が合う料理も知ってるんじゃないかと試食して貰ったんだけど」
「肉味噌かぁ、何か、、、、、あっ!」
「おっ?」
あるある!
肉味噌を使って簡単に作れる料理がありまっせ♪
池田屋商会で販売している商品はどれも爆売れしていて大人気だけど、その中で唯一あまり売れていない商品がある
それが『乾麺』だ。
当初は行商人や冒険者向けに販売した乾麺だけど、茹でるのに大量の水が必要な為に川や湖の近くを通る人しか買ってくれず売り上げはイマイチだ。
でも主婦の皆さんからは、麺と一緒に肉や野菜も茹でれば、スープとメインの料理が一緒に作れてとても助かる♪
と言って貰えて好評なんだけど、池田屋商会では生麺も作って売ってるから、雨の日とか買い物に出掛けるのが面倒な時の備蓄食料として乾麺は人気だけど、普段は生麺を買う人がほとんどだ。
そういう理由から、不良在庫とまではいかないけれど、微妙な人気の乾麺を使って肉味噌料理を作ろう!
まずは鍋とカセットコンロと中華ちぢれ麺を用意して
「ヨウコさん、鍋に水入れて魔法でお湯にして貰えますか?」
「はーい」
「はぁ~、今さら君のする事に驚きはしないけど、お連れのヨウコさんも普通に魔法を使えるとか、理不尽極まりない!」
アハハハ
ヨウコさんは神獣だから人と比べる意味は無いけど、魔法ってけっこう使い勝手が悪いよな
ステフ様のように広域殲滅魔法が得意だと、ライターみたいな小さい火を出すのは苦手だし
逆にライターみたいな火を出せる人は、魔力量が少なくて1日に何回も魔法を使えないし。
その辺の研究はどっかの偉い人に任せるとして、沸騰したお湯に中華ちぢれ麺を投入!
「麺が茹で上がるまで3分待って下さいね。やっぱり少しくらい野菜は欲しいよなぁ、、、キュウリと白髪ネギがあれば」
トタタタタタタタタタタタッ!
うぉいっ?!
びっくりしたなぁもう
何処から出して来たのか、ニィナがキュウリとネギを超高速で切ってるよ
「旦那様、キュウリと白髪ネギが切れました。」
「あっ、うん、ありがとねー(汗)」
一瞬でキュウリの細切りと白髪ネギが山盛り完成したけど、試食でそんなに大量には要らんです。
「ナガクラ様、そろそろ麺が茹で上がりますよ」
「あいよ。麺を取り出してお湯をよく切ってからどんぶり鉢に入れて、肉味噌、キュウリ、白髪ネギを乗せれば『肉味噌混ぜ麺』の完成!
ヤン先生どうぞ、よく混ぜてから食べて下さい」
「本当に君は次から次に色んな事を、、、まっ、美味しい料理が増えるのは歓迎だけどね、いただきまーす。ズズッ、、旨っ!」
ヤン先生の反応を見る限り、麺に対する抵抗は無さそうだな。
俺も肉味噌混ぜ麺をズズッと、、、うーん、美味しいけど物足りない
ラー油をちょんちょんと垂らしてから、ズズッ、、、うまぁーい♪
ラー油のピリ辛で味が引き締まってめちゃ旨やな!
中華麺をうどんに代えても美味しいだろうし、温泉卵を乗せても絶体美味しい!
肉味噌混ぜ麺って、無限の可能性がある最強料理なのでは?
「ヤン先生、中華ちぢれ麺はどうですか?今なら3割引きくらいで売りますよ♪」
「絶体買う!メイドさん達にも試食して貰って味方にすればケーニッヒさんも予算を回してくれるはず!」
待て待て待て
小学校の学級会と違うんやから、大事な予算をそんな感じで決めたらあかんやろ!
だがしかし
肉味噌をレシピ登録すれば充分な儲けになるだろうし、俺も乾麺が売れて儲かるから問題無し!
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。