第502話 家族の幸せの為に

「それじゃあ、いただきます。」


「いただきまーす♪もぐもぐもぐもぐ」


「黒糖きなこ、アーモンド、ココナッツの3つのクッキーは初挑戦したんですけど、シェラさんはどのクッキーが好きですか?」


「もぐもぐもぐもぐ、、全部美味しいですけど、私はアーモンドが好きです♪」



なるほど、シェラさんはアーモンドが好きと、忘れないようにメモメモ。



「ねぇシェラ、あなたちょっと馴染むの早くない?」


「馴染めず1人寂しくおやつを食べるより良いと思いますけど」


「それはそうだけど、、まぁいいわ、あーんっ、サクサクサクサク、、あら、美味しい♪」




ケイトにブーブー文句を言われる前に『イヌーピー君』のぬいぐるみをみんなに配り終えたら、ペトラ様とシェラさんを加えて予定通りクッキーと紅茶でおやつタイムだ。


まぁ大食いのシェラさんの前には大皿でクッキーを山盛りにしているけどな!




「ペトラ様に確認なんですけど、俺の妾になる事は諦めてませんか?」


「愚問ね。前にも言ったと思うけど、私はシンさんに惚れてるの。だから諦めるなんて有り得ないわね!

でもそれじゃあ悔しいから、シンさんを私に惚れさせて、シンさんから私に結婚を申し込ませて見せるわ。それまで待ってなさいよね!」


「俺の何処に惚れる要素があったのか謎なんですが」


「シンさんはそんな事を気にしてたの?まぁシンさんって自分の事には鈍感そうだしね(笑)

いいわ、教えてあげる。シンさんは私の事を貴族だとかスコーピオン家の娘だとか関係無く、私の事をちゃんと見て結婚を断ってくれたからよ」


「それって普通は怒る所なのでは?」


「スコーピオン公爵家の娘と知ってて堂々と私を拒否する人なんて、シンさんが初めてだったわ。

ふふっ、結婚相手なんて最初は私のやりたい事に口出ししなければ誰でも良かったのに、あんなにはっきり断られちゃったらリベンジしないと引き下がれ無いわよ」


「リベンジで惚れさせるより、別の相手を探す方が簡単でしょうに」


「いいのよ。私はシンさんに惚れてるから他の人と結婚するなんて無いもの。

それに、シンさんなら相手がお父様でも遠慮無く文句を言うでしょ?」


「あのう、俺の事をクレーマーみたいに文句を言う前提で話をしないで下さい。

まぁ理不尽な事を言われたら、相手がスコーピオン公爵でも拒否した上で水をぶっかけるくらいはしますけど」


「ふふっ、シンさんのそういう所が私は好きなの。だからシンさんを私に惚れさせて、シンさんから結婚を申し込んでくれるまで結婚はしないから。」


「分かりました。ペトルーシュカ様、俺と結婚して下さい。」


「喜んで♪、、、え?結婚して下さいって言ったの?」


「はい、言いました。ペトラ様を含めると奥さんが5人になる予定なんで、寂しい思いをさせるかもしれませんが、それでも良ければ俺と結婚して下さい。」


「あれだけ私がアプローチしても拒否してたのに、どうして急に結婚なんて言うのよ!」


「いやまぁ、あれだけはっきり好きとか惚れたとか言われたら気持ちも傾きますやん。

それに、ペトラ様の絶対にへこたれないタフな精神は、惚れる理由としては充分に魅力的でしたから。」



ペトラ様のタフな精神に惚れたのは事実ではあるけれど、それゆえにペトラ様は俺と結婚するまで諦める事はしないだろう。


いつまでも未婚のまま歳を重ねるのは可哀想だし、それなら自分の感情に素直になって、ペトラ様に惚れてさっさと結婚した方がお互いに幸せだろう。




「むぅ、、、そう言ってくれるのは嬉しい、凄く嬉しいけど、、、惚れられるように頑張ろうとしてた私の気持ちの行き場はどうするのよ!」


「それについては申し訳ありません。でも、頑張ろうとしてるペトラ様の姿を見て惚れた訳ですし、俺とペトラ様の相性も悪くないのかなぁって思います。」


「確かに成人の儀の時に居た殿方と話をしても全然盛り上がらなかった、、、というより私が一方的に話すだけになって、気を使って大変だったわ。

シンさんとは普通に会話が弾むから相性は良いのかもね♪」



想像でしか無いけれど、ペトラ様と同じくらいの年頃の男の子では、ペトラ様の会話の相手をするのは難しいだろうなと思うよ。


なんせペトラ様は常に全力投球で、たとえ目の前に壁があってもぶっ壊して突き進んで来るんだもの。



「あっ!結婚したら色々と直して頂きたい事は多々あるので、そこは予め御了承下さいね。あと場合によってはスコーピオン公爵家の威光もガンガン使って行くんで、宜しくお願いします!」


「使える物は何でも使ってくれて良いんだけど、わざわざ今言う必要は無いわよね?」


「ペトラ様には何も隠さず正直に言う方が良いと思ったんですけど、、、」


「んーーー、あっ♪じゃあ他の奥さん達の何処に惚れたか隠さず正直に教えなさいよ。最初はメリルさんからね」


「え゛っ?いや、あの、そういうのはプライバシーの問題がありますし、俺が勝手に言うのはちょっと(汗)」


「私も改めて教えて欲しいです♪」


「ちょっ、アルテミスさんまで?!」



「せっかくだからペトルーシュカ様と親睦を深める為に、おにいちゃんがみんなの何処に惚れたか聞かせてよ」


「「「「うんうん♪」」」」



おーい、メリルさんを筆頭に、ニィナ、ケイト、アルテミスさん、ペトラ様の奥さん達


いつの間にか仲良くなってるのは凄く嬉しいんだけどね


協力して俺を包囲しないで下さい(汗)


くっ


こんな時に頼りになるのは、、、、、、、、、、、、、


頑張れ俺!


負けるな俺!


家族の幸せの為に、全力で頑張るんだぁー!!






つづく。

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