第501話 ぬいぐるみ
チート能力を使ってでも、俺が笑顔にしてみせーる!
と、落ち込んだペトラ様を笑顔にする為に意気込んでみたものの、10代の女子が喜ぶ事って何だろう?
たぶん万国共通で喜ばれるのは甘味だろうけど、我が家だと毎日2回、3時のおやつと夕食後のデザートに甘味を出してるし、シェラさんとペトラ様を部屋に案内したらおやつのクッキーが待っている。
だから今、俺が甘味を出すとせっかくのクッキーが食べられなくなるから駄目だ。
となると
俺が用意出来て女性が喜ぶ物は、、、結局下着か?
アストレア様も言ってた事だけど、俺がスキルの「店」で買ったブラやショーツは、1度でも着用するとその着心地の良さから、ブラとショーツの無い元の生活には戻れないらしい。
そのお陰でクオリティの低い下着でも高値で買ってくれるから、俺は下着を売るだけで既に人生を3回くらい遊んで暮らせる貯金がある。
まぁ、俺から直接下着を渡すとサイズ合わせをしなきゃいけないから、そっちはメリルとニィナにお任せだ。
おっとっと
そんな事を考えていたら空き部屋に到着しちゃったよ。
「ここがペトラ様に使って頂く部屋です。どうぞ」
ガチャッ
「えっと、何も無いんだけど」
案内したのは10畳ほどの広さでベッドも何も置いて無い殺風景な部屋だ。
「今はただの空き部屋ですからね、必要な物はちゃんと用意しますから安心して下さい。ちなみに1人で使いますか?それともシェラさんと一緒ですか?」
「一緒でいいわ。この建物内ならシェラが常に護衛する必要は無いだろうけど、シェラを1人にして自由にさせると厨房の食材が消えかねないから」
「ちょっ、ペトルーシュカ様ぁ~、私を食いしん坊の泥棒みたいに言わないで下さいよぉ(悲)
シン殿の料理が食べられるのに、厨房に置いてある調理前の食材をわざわざ食べる訳無いじゃないですか。もう、ぷんぷんですよ!」
おーいシェラさん
その言い方だと、場合によっては厨房の食材を食べるって事ですよね?
シェラさんには充分な食事を提供しなくては!
「そういえばペトラ様の荷物はどうしたんですか?」
ペトラ様は手に何も持ってないし、シェラさんも小さな背負い袋1つしか持っていない。
2人が乗って来た馬車もメイドさんを乗せて帰っちゃったし、荷物は後から送られて来るのだろうか?
「荷物は無いわ。勿論実家に私物はあるけど、わざわざ持って来るほど大切な物も無かったしね。だから着替え等を含めて全部用意して欲しいの。
前回来た時に池田屋商会で買った下着も、お姉様に見付かって取られちゃったから下着も欲しいんだけど、、、だっ、駄目、、かな?」
ふふっ
素直にお願いする事に慣れていないからなのか、もの凄くぎこちない喋り方がとっても初々しいねぇ♪
「大丈夫ですよペトラ様、元々全部用意するつもりでしたから。下着はお風呂に入る時にでも、アルテミスさんにサイズを計測して貰ってから、好みのデザインの下着を選んで下さい。
しかし、前回ペトラ様が買った下着ってスポーツブラでしたよね?
ペトラ様のお姉さんが欲しがるような商品では無い気がしますけど」
「たぶん中立派以外の派閥の女性なら、スポーツブラを金貨1枚でも買うと言う人がほとんどだと思うわ。それを見越して中立派にしか高品質の下着を売って無いと思ったんだけど、違うの?」
えぇっ?!
普通の可愛いブラジャーならともかく、スポーツブラに金貨1枚(約10万円)払うとか、ちょっと有り得へんやろ!
「あの、シンさんの故郷ではどうなのか分かりませんけど、バルゴ王国で下着というとドロワーズかコルセットが基本です。
しかも王族御用達の服飾店の下着より、池田屋商会で取り扱っている最低ランクの下着の方が遥かに着心地が良いんです。」
あぁ~
アルテミスさんに説明されて思い出したけど、アストレア様にスキルの「店」で買った下着を初めて見せた時も凄く驚いてたもんなぁ
ドロワーズなんて映画でしか見た事無いけど、こっちの世界の美的感覚だとスポーツブラの方が見映えも良いのかな?
最近じゃ下着関連はアストレア様に丸投げしててすっかり忘れてたよ。
「えーっと、ペトラ様のお姉さん達に下着を贈りましょうか?」
「私を通してシンさんから贈り物をさせるくらい当然と考えてる人達だから、向こうからお願いされない限り必要無いわ。
別にお姉様達と仲が悪い訳じゃ無いんだけどね、貴族なんて笑顔で他人を蹴落とすくらい出来ないと生きていけないのよ」
「ペトルーシュカ様の仰る通りですね」
貴族って本当に大変なんだなぁ。
その証拠にペトラ様とアルテミスさんが凄く寂しそうな表情をしているんだもの。
「ペトラ様にアルテミスさん、コレ差し上げるんで元気出して下さい!」
俺が2人にプレゼントしたのは、大阪のテーマパークで大人気のマスコットキャラ『イヌーピー君』のぬいぐるみだ。
ビーグル犬をモデルにした白い毛の『イヌーピー君』を嫌いな人など存在する筈が無い!
「シンさん、この犬は何でしょうか?」
「イヌーピー君という名のぬいぐるみです。可愛いでしょう♪」
「ええ」
あれれ?
反応がイマイチな気が、、、(汗)
「2人にぬいぐるみは少し子供っぽかったですね。邪魔になってもいけないんでスミレにあげる事にします。」
「要らないなんて言って無いでしょ!イヌーピーさんは私の部屋に住むって言ってるんだからね!」
「そっ、そうですか。えっと、アルテミスさんは、、、」
「私のイヌーピーさんも今日から私と一緒に居たいそうです♪」
「あっ、はい、了解です。」
思いのほかイヌーピー君は喜んで貰えたみたいだ。
ただ我が家のみんなにもイヌーピー君はプレゼントしないと駄目だろうな。特にケイトはブーブー文句を言いそうだから、忘れないようにしなければ!
つづく。
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